Q.最低賃金は住所/勤務先/本社のいずれが適用されるのか?

本社の所在地と異なる場所で働く従業員がいます。
最低賃金は本社の都道府県と、勤務地の都道府県、従業員の住所の都道府県のいずれの最低賃金が適用されるのでしょうか?

A.実際に働く事業所が基準です

最低賃金は本社がどこかにかかわらず、従業員が実際に働く事業所の都道府県によって判断していきます。 

なので、

  • 自宅が「神奈川県」
  • 本社は「東京都」
  • 職場は「千葉県」

の場合は千葉県になります。ただし、千葉には事務所が無く、単に通っているだけであれば、所属している拠点のある場所(本社のある東京)の最低賃金が適用されます。

例えば、東京本社に所属するITエンジニアが、1か月程度ホテル暮らしをして、千葉のお客さんのシステム設定をする等は「事務所に戻る」といえば、東京の本社のことを指しますので、東京になります。 

テレワークの場合はどうなるの?

 ちなみに、テレワークの場合はどうなるの?という議論が出てくると思います。

テレワークを行なう場所がどこであろうと、最低賃金は「テレワークを行なう労働者の属する事業場がある都道府県」の最低賃金が適用されます。

たとえば、東京の事業所に所属する労働者が、沖縄県でテレワークを行なっていた場合、沖縄県の最低賃金ではなく、東京都の最低賃金が適用されることになります。  

最低賃金の対象となる賃金から除外される賃金

ちなみに、最低賃金の計算に含めない賃金というものがあります。大まかにイメージとしてとらえるならば、残業代など、いわゆる「労働の対価」の本体でではない部分は計算の対象外とイメージしておくと良いでしょう。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、   通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

あわせて読みたい

そもそも「賃金」の原則とは?

法律の”そもそも”に立ち返る

「賃金」にも計算のしかたから支払いまで、様々なルールがあります。「賃金」について、労働基準法などでどのような定めがあり、労務管理で配慮しなければならないのでしょうか?

職場の問題が解決しない

「やりかた」の前に「ありかた」

「職場の出来事を題材に”話し合う”」。それだけで、メンバーの目線揃えと、問題解決ができる【職場学習】という研修をご存知ですか?