前回は労働紛争の種類をご紹介しましたが、裁判所「外」での労働紛争の解決手続きである「あっせん」について紹介します。
あっせんの開始(突然のお手紙)
ある日突然「あっせん開始通知書」が労働局から送られてくる
郵便が到着する
ある日突然、所轄の都道府県労働局から封書が届きます。書類はレターパックのような大きさではなく、いわゆるクレジットカードの請求書が入っているようなA4サイズの書類が三つ折りされるサイズの茶封筒で送られてきます。
書類は
- あっせん開始通知書
- 連絡票
- あっせん申請書
- あっせんを求める事項およびその理由(補足資料)
の4点セットが入っています。
郵便を開けてから
「あっせんを求める事項およびその理由(補足資料)」の量しだいですが、それなりに厚めの郵便物になります。
なんだろう?という気持ちで開封すると、添付のような書類が顔を出します。
ざっと心理的な状況と時間の流れは、以下のようになります。
- なにこれ?という状況が分からない瞬間(3秒)
- 次に、は?という驚き(2秒)
- 怒りの感情(3分以上)
- どうしよう。。というパニック状態(5分)
となります。
「給料を払う人」と「給料もらう人」は違う
- あれだけ、目を掛けて面倒をみてやったのに
- 将来を嘱望して、幹部候補と期待していたのに
- 気が弱そうで、おとなしい子がこんなことをするはずはない
- ダメなことを、ダメっていっただけなのに
などと思っても無駄です。
権利についてはたくさん主張し、自分のことだけを考えており、義務を果たすことや、みんなのことを考える気持ちは一切ない。という人もいます。
しかし、経営者や人事として目を掛けていたとしても、突然退職をして、人が変わったように労働紛争を仕掛けてきます。
え?なんで??など思っても仕方ありません。給料をもらって働いているのであって、人生を掛けて働いてくれるのは、配偶者か、出資をし借金の連帯保証人に一緒になってくれている共同経営者くらいなものです。
冷静になりましょう
腹を割って話せる同僚か、顧問の社労士に電話をすることになり、心を落ち着かせる流れになります。
民事で訴えられたり、調停を起こされたときも同じような感じですので、
その経験をイメージすると分かるかなと思います。経営者であれば、何度か経験していると思います。
怒りに任せて、本人に電話したり、メールをしたりしては絶対にいけません。
揚げ足を取って、脅されたなど言われても元も子もありませんので、書類が届いてから以降は、行政機関を通して処理をしていきましょう。
一人で悩まない。専門家に相談しましょう
あっせん開始通知書が届いたら専門家に相談をしましょう。あっせんは専門家を雇わなくても対応はできますが、はじめて対応することですし、紛争のことで頭が一杯になってしまいますので、専門家に依頼をしましょう。
専門家はあっせんを多く処理をしていますので「あっせん申請書」「あっせんを求める事項およびその理由(補足資料)」の内容をみて、相手がどのような体制で、どの程度準備をしているのかは、おおよそ見当がつきます。
作成される書類はインターネットでは分からないような、独特な表現方法や書類の書き方のご作法がありまうすので、専門家が作成しているのか、独力で書いているのか数をこなしていくと感覚がつかめるようになります。
あっせんを受けるか否かを回答する
次に同封されている「連絡票」を読むと、
- 「あっせんに参加する」
- 「参加しない」
という2択のチェックボックスがありますので、どちらかを選んで回答します。
受ける、受けないの判断は、
- コストよりも会社の正義を貫く場合は「参加しない」を選び、あっせんを拒否し労働審判などの訴訟に勧める。例えば、内容が根拠のない言いがかりである場合など
- 会社として勝ち目がない場合、訴訟や弁護士費用などのコストを掛けず早々に終わらせたい場合は「あっせんに参加する」を選びます。
文中に反論を記入する欄がありますが、あっせんを受けるか否かの回答期限がありますので、基本は「後日回答します」と書いて、後日、答弁書を作成し、労働局に送付することになります。
あっせんの「申立て」は、費用ゼロでも出来ます
「あっせん」は具体的な証拠が必要ではなく、申立人の主観であっても「あっせん」を起こすことができますし、あっせん費用は無料です。
「とりあえず。あっせんを起こそう。あわよくばお金が手に入ればラッキー。」という輩も少なからずいることは残念です。
参加する場合は、答弁書を準備して、期日の調整を行っていきます。
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