いわゆる残業代と言われる、割増賃金の計算・端数処理について、いろいろな質問がありますので、よくある質問をまとめてみました。

【Q】残業手当等の端数は、どう処理すれば良いのでしょうか?

労働基準法上認められている端数処理方法は次のとおりです。

(1)割増賃金の計算

  • 【A】1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げます。
  • 【B】1か月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、Aと同様に処理していきます。

(2)平均賃金の計算

  • 【C】賃金の総額を総暦日数で除した金額の銭未満の端数を切り捨てます。
    なお、平均賃金を基にして休業手当等を計算する場合は、特約がなければ円未満の端数処理はAと同じになります。

(3)1か月の賃金計算

  • 【D】1か月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した残額)に100円未満の端数が生じた場合は50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げて支払うことが出来ます。
  • 【E】1か月の賃金額に1,000円未満の端数がある場合は、その端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことが出来ます。

なお、「1か月の賃金計算」に書いた取り扱い(【D】と【E】)をする場合は、その旨を就業規則に定めることが必要です。

【Q】タイムカードに打刻された時刻が1分、2分オーバーしてしまっているものも、時間外労働時間に含めて計算するのでしょうか?

【A】指揮命令下にあった時間であれば、1分、2分であっても割増賃金の計算の対象とします。

分かりにくいのですが、割増賃金は労働した時間に対して支払うので、私用の雑談をしていた、タイムカードまで歩いて時間がかかるなど不就労の時間については、時間外労働の計算に含めなくて構いません。

仕事をお願いしていた時間と、退出の時刻は異なります。繰り返しますが、割増賃金を支払う必要がある時間は、会社が仕事を命じていた時間になりますので、タイムカードの打刻された時刻=会社から指揮命令を受けることが終了した(業務が終了)した時刻とは限りません。

例えば、残業申請を運用している会社で、残業申請が無いにも関わらず、タイムカードに時間外労働となる時間が打刻されている部分は、給与計算時にカットすることは問題ありません。

ただし、トラブルになりやすい点ですので、残業を命令したのか否かがわかるように、残業の申請書や承認書を用意するなど、誰が見ても残業をした/しなかったが分かる記録を作りましょう。

【Q】「所定内賃金」と「基準内賃金」はどう違うのでしょうか?

法律上の定めは特にありませんが、所定内賃金は「所定労働時間に対応するもの」、「基準内賃金」は所定内のうち一定範囲のものを指すことが多いです。


【Q】割増賃金の計算の基礎とならない賃金にはどのようなものがありますか?

「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支払われた賃金」「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に限定されています。また、これらも、条件を満たしていない場合は、割増賃金の計算の基礎に含めることになるので、ご注意下さい。

【Q】給与支給日が日曜の場合、翌営業日の月曜日に支給しても構わないでしょうか?

就業規則や給与計算の慣行次第になります。

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