Q.週3日勤務の退職予定者の有給残を消化するには、あと何日在席させるべきか?
週3日勤務の従業員が退職予定ですが、この従業員は、40日の有休残を持っています。この有給残を消化するために、あと何日在席させておく必要かあるのでしょうか?
(1)月曜から金曜日までの全営業日の5日間すべてを使って有給を消化できる
(2)所定労働日数が週3日なので、毎週3日ずつ消化
のいずれが正しいのでしょうか?法的に違う考え方なのでしょうか?
仮に、本日が4/1で、退職希望日が7/15だった場合、有給休暇が、余ったor足りない場合はどうなるのでしょうか?
A.有給休暇は「労働日の労働を有償で免除する」制度
有給休暇は「労働日の労働を有償で免除する」制度です。なので、額面通り運用した場合、労働の義務がある日(つまり、週3日の勤務予定日)に対して有給を消化できます。
計算の仕方として
- 7月15日から40労働日遡ったところまでが有給取得日で、その前の労働日
が最終出社日になります。
有給休暇が足りない場合
残りの営業日は、当然に労働の義務はあるが、有給休暇はないので、
- 出勤して仕事をする
- 欠勤として欠勤控除する
のいずれになります。
(もちろん、根拠が必要にないりますが会社が特別休暇を与える方法もあります。)
有給休暇が余った場合
既に、40日分有給消化できませんので、余った分は有給休暇は使いきれず消滅となります。
ただし、ここで、また分岐が起こり
(1)会社が退職の承認をしていない場合
まだ、会社が承認をしていないうちは、社員は退職をいったん撤回し、退職日を7月15日よりも後ろ倒しすることが出来ます。
(2)会社が退職の承認をしており、撤回を認めない場合
退職日は7月15日で確定しているので、後ろ倒しは出来ません。
有給休暇の残余を温情で余った分は買い取るということもできますが、買い取りは義務ではありませんので拒否して構いません。
有給の買取も考える
有給消化まで在籍させるのではなく、買い取りをして雇用契約を早々に解消することも考える余地があります。
「有給休暇を消化したいという理由で、退職日が先の日付けにある」「社員側が会社と早く縁を切りたい」という意向があるならば、有給休暇の買取を行い、退職日を前倒しする方法も考えましょう。
前述のケースであるならば、
- 最終出社日から週5日でカウントして40営業日経過したところで終了。
- 40日分を買い取りとして、有給消化を使わずに雇用契約を終了させる
(要は7月15日より前に有給を使い切る)という話をしても構いません。
という選択肢もあります。
もちろん、原則は労働日に使えるものが有給休暇です。本人がルール通りにしたいというならルールどおりにして、早く辞めたいというなら上記の2案を提示すると良いと思います。
有給休暇の買い取りは、会社にもメリットがある
退職までの有給消化中は、「会社に籍はあるが、出社していない」という状態です。
- 籍がある以上、IDカードなどを持っており、今後勤務をしないにも関わらず会社の情報にアクセスできてしまう。
- また、有給消化期間中に不祥事を起こし、新聞沙汰となったとしたら、「自社の社員」として報道される。
などセキュリティーに対するリスク回避の観点から、会社側としてもメリットがあります。
買い取りを認める/認めないは、会社の考え方や価値観によりますし、退職者によって対応が異なることは避けるべきですが、一つの選択肢として持っておくことも良いと思います。