【質問】再復職希望者に対して、どのような対応が可能か？
1年間の休職後に復職し、再度うつ病で欠勤状態が続いていた従業員が、再度「出社可能」との診断書を提出してきました。ただし、診断書には「1か月前後の時短勤務が必要」との記載があります。会社としては、所定労働時間を勤務できないと復職は認めない方針です。こうした場合、復職を拒否することや、その後再び欠勤した場合に退職勧奨を行うことに問題はあるでしょうか？
また、従業員は「会社も同席して主治医の話を聞いてほしい」と希望しており、会社としては次にどのような対応を取るべきか悩んでいます。
【回答】会社側の対応判断には裁量があるが、慎重な対話が必要
医師の診断書は絶対ではなく、復職は会社の判断で可能
医師の診断書はあくまで参考資料であり、復職の可否を決めるのは会社側の裁量です。たとえ診断書に「時短勤務が可能」とあっても、それをそのまま受け入れる必要はありません。特に、同一傷病による休職実績がある場合は、復職条件を会社側が明示することが重要です。
診断書の記載内容に過度に振り回されず、会社としての復職基準を事前に定めておくことが有効です。
条件付きでの復職提案や職種変更の選択肢も検討可能
本人が強く復職を希望する場合には、次善策として以下のような提案も可能です。
- 等級を下げて契約変更し非正規雇用とする
- 勤務日数を減らす（週3日勤務など）
- 職種や勤務地の変更を提案する
会社が柔軟な雇用形態の選択肢を提示することで、無理のない形で復職を支援することができます。
一方的な拒否ではなく、代替案を提示することで労使間の信頼関係維持が期待できます。
主治医との面談は「業務内容の説明」を重視して臨む
かかりつけ医と産業医の役割は異なり、産業医は業務の実態に基づいて就労可能性を判断します。従業員側が主治医との面談を求める場合、会社側は以下の点を確認すべきです。
- 単に座って勤務するだけでなく、実際の職務を遂行できるのか
- 異動・転勤・残業などに対応可能か
- 再発のリスクがどの程度あるのか
そのうえで、必要であれば医師から書面での回答をもらい、会社内で産業医の意見と突き合わせて対応を決定します。
主治医との面談を行う場合は、医療情報よりも就業現場の実態を丁寧に伝えることがポイントです。
復職対応では、医師の診断書＝復職義務ではないという原則を押さえつつも、慎重な対話と柔軟な選択肢の提示が求められます。二度目の休職後に、再度復職を申し出る従業員に対しては、就業可能な状態であるかの判断を産業医を交えて丁寧に行い、必要に応じて職務変更や雇用形態の見直しを提案することで、企業側も従業員も納得のいく形で対応を進めることが可能です。
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