Q:来月1日に入社する予定の社員が、翌月末に家族で過ごすために2週間の休みを取得したいそうです。希望される休暇のタイミングでは入社して6ヶ月経過していないので、有給休暇、特別休暇などが付与されていません。

このような場合、何を利用して休みが取得できるでしょうか?また、欠勤扱いで休んでもらうのが会社にとってよいでしょうか?

プライベートでの事情があるなら仕方ないし、温情があっても良いのかもしれないと思います。しかし、休暇取得のタイミングで、入社して2か月しかたっていません。

会社への貢献もまだまだですし、仕事の結果も出ていないであろう状況において、会社が2週間も給与を払ってまで休日を与える温情を与えるのが良いのかどうかも悩んでいます。
昭和的な発想なのかもしれませんが、「言ってしまえば、なんでも通用する」ことがまかり通ることが、どうも釈然としません。

労働基準法は福利厚生の法律ではない

A:「労働基準法」と聞くと、なんでも従業員に優しいイメージがしますが、労働基準法の原理原則は「働かざるもの、食うべからず」です。
有給休暇を持っておらず、労く義務がある日に休むのであれば、単なる欠勤になります。

当然のように、「休みでしょ?」と従業員に言われると、経営者として「法的にそうなの?」「嫌われたらどうしよう?」と不安な気持ちになり特別休暇を与えてしまいたくなるかもしれません。
しかし、中途半端に温情を見せると他のメンバーから「なぜ、あの人は特別に許されるのか?」「ダメ元でゴネた方が得じゃないか!」と思われてしまい、社内の秩序が維持できませんし、就業規則で規律のルールを定めている意味がなくなってしまいます。

2週間お休みをすること自体は、プライベートな事情があり、やむを得ないことなのかもしれませんが、会社は欠勤として処理をすることになります。

ご本人に対しては

  • 有給休暇や会社が認める休日以外に休むなら、当然に欠勤になります。
  • 上司(もしくは社長)として、入社していきなりお休みなの?って正直な気持を持っている。
  • もちろん、人それぞれの事情があり、家族が優先なのは分かる。上司(もしくは社長)として、ご自身の意思を尊重したい。
  • 入社早々・・・。と思う同僚もいると思うので、休み明けからは、みんなから一目置かれるような活躍をしてくれるのを期待しているね。

とお伝えいただけると良いかと思います。言い方・伝え方って難しいですよね。。

有給休暇を取得したので評価を下げるということはNGですが、欠勤は労働者側の雇用契約の債務不履行ですので、欠勤については人事評価に反映することは可能です。

その際には、慶弔が理由ならOK、遊びにいくならNGなど理由をいれてしまうと、解釈の余地が入りますので、出勤率や欠勤日数といった客観的事実にもとづき、加点減点をするのが妥当です。

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