Q:未消化の有休休暇がある状態で退職を予定している従業員います。退職処理を進めていたところ本人から「余っている有給休暇を買い取って欲しい」との連絡が来ました。会社では過去にも有給休暇を買い取ることはしていませんので「有給休暇の買取はできない」との回答はしましたが、本人の申し出があった場合は応じなければならないのでしょうか?

また、「有給休暇を買い取ってくれないなら、有給休暇を消化し終わってから辞める。」と言ってきた場合は、それに応じなければならないのでしょうか?

未消化の有給休暇を買取る義務はありません

退職日時点で余った有給休暇を買い取る義務はありません。

退職日が曖昧で決まっていない場合は、退職日の特定が問題になりますが、今回は退職届が出ており、すでに退職を承認しているケースです。

退職届は

  • 会社側が退職の申出を承認していない場合は、従業員は撤回ができる」のですが、
  • 会社側が退職の申出を承認している場合は、従業員は「撤回はできない」となります。

今回のケースでは、既に従業員側から申出があり会社が承認をしており、退職日が確定しています。そのため、退職日までに有給休暇を使いきれなかった場合は、あまった有給休暇は消滅することになり、買い取りの義務もありません。

そうなると、「それであれば、有給休暇を使って退職するので、退職日を変えて欲しい」という話になると思います。

今回の場合は、既に退職届が出ており、それを会社が承認しているのであれば退職日を変更する義務はありません。

仮に、会社が退職を承認をしていない場合は、従業員と会社側で、雇用契約の終了の合意が取れていませんので、従業員は退職の申出を撤回し改めて、有給休暇を消化しきった日を退職日として、改めて雇用契約の終了を申し入れることになります。

退職届が提出されたら、早々に処理をする

前述のとおり、退職(雇用契約の終了の申し入れ)は従業員と会社が合意することで成立します。テレビドラマなどでは、「この退職届は預かっておこう。」と言って上司の引き出しにしまっておくシーンがあります。

しかし、退職を引き留める、確定させるのいずれにしても、従業員からの退職の申し入れを、会社として保留にすることはトラブルのもとになりますので望ましくありません。

退職しても構わないのであれば早々に承認したことを、従業員に通知するべきですし、引き留めたいのであれば、慰留の面談を早々にするようにしましょう。

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