Q:当社では福利厚生制度の導入を検討しています。せっかく導入するので、自社オリジナルのものを導入したいと思っています。

他社で導入している独自性の高い、福利厚生制度にはどのようなものがあるのでしょうか?例えば、サイコロを振って賞与を決めたり、失恋したら休暇がもらえるといったようなインパクトのある制度を見かけますが、わが社でも、メディアで報道されるような制度を考えたいと思っています。

目的はなにか?を考える

A:福利厚生制度は「失恋休暇」など、奇をてらうものもあります。
しかし、無作為に作っても意味がありませんし、財源も余裕があるわけでもありません。
制度ありきではなく、会社の理念浸透、強みを伸ばす対外的なアピール(話題性)は何かを考え、その目的にフィットした制度を決めるとよろしいでしょう。

福利厚生制度の例

福利厚生制度を設計する際には、「何をするか」「どんな制度がいいか?」から考えるよりも「当社の課題は何か」「従業員にどんなメッセージを伝えたいか?」から考えましょう。また、福利厚生は(1)経済的援助を与える場合と、(2)余暇時間を与える場合に大別できます。金銭面で支援をするのか、時間的な面で支援をするのかも考えましょう。

子供向けサービスを提供する会社の場合(子供服の会社や保育園など)

「子女誕生日休暇」や、「入学祝・卒業祝い」など子供のためになる制度があります。メリハリを利かせるためにも、配偶者手当は薄くしていきましょう。

社員の企画力が業績を左右する会社の場合

「徒歩通勤支援手当」

歩きながら社会の営みをみて、何か気付いたことがあれば支給など。(健康増進/鉄道での感染防止も兼ねて)

「教養手当/リベラルアーツ手当」

観劇や食事など一流を体験し、表面では分からない、その世界の本質を得る。見聞して、日々の営業活動の話のネタを仕入れることが目的。
他にも「図書購入費」教養を高めるためにはマンガも可能など、「語学支援」中国語、ロシア語、ベトナム語など、会社が進出する&取引のある地域の語学力アップのための福利厚生なども考えられます。

IT操作が業務遂行において必須の会社の場合

ITスキルがあると生産性が向上する企業であれば、IT支援に関する福利厚生サービスも有用になります。特に事務処理をする会社だけど、従業員のエクセルスキルは少し残念なレベルという場合には有用です。

・Excelの受講支援(営業担当がマクロなど作れる、ブラインドタッチが出来るなど)
・使いやすい高級キーボード、マウス、テンキーの購入補助
・猫背、肩こり腰痛に特化した、マッサージ支援  など

多様性を前面に出した会社としたい場合

他社よりも時代を先取りした施策をしたいのであれば、LGBTや男性の育児支援などに関する福利厚生サービスも有用でしょう。

例えば「配偶者手当」を一歩進めて「同性婚手当」とし異性だけでなく、事実婚・同性であっても支給するとしたり、「男性育児休暇手当」など、男性の育児休業取得を促進するのであれば、男性の育児支援に関する手当を支給することも検討の余地があります。

若者が採用しにくい業界の場合

ご両親に宛ての誕生日プレゼント

会社に貢献する人材を産んでくれた両親に対して、記念日に会社が謝辞を兼ねて、ホテルや有名店のレストランの食事をプレゼントするのも良いでしょう。 

文化・価値観の統一が課題の企業の場合

テレワークで従業員同士の接点が少なくなったり、組織横断的な組織風土に課題があるならば、若手従業員向けの社員寮(ワンルームではなく食堂付きのペンションなどの一括借り上げ)や、社員旅行、新入社員歓迎会も有用です。

何度も言いますが「目的を見失わない」

繰り返しますが、福利厚生は会社の政策誘導や、従業員に伝えるメッセージとして活用するものです。珍しい福利厚生をやみくもに導入するのではなく、目的を明確にしていきましょう。

2022年の時世を踏まえた手当の例

例えば、2022年前後のご時世に添った手当としての例としては、このようなものが考えられます。

コロナの陰性であることを常時確認したい場合

・PCR陰性証明手当、PCR検査の費用負担制度

副業を行っている従業員を把握したい場合

・副業支援金(副業をする前に、自社で働いてもらうことが前提ですが、、、)

福利厚生を考えるにあたって

福利厚生制度を考えるにあたって、やみくもに制度を作っても、あまりスマートなやり方ではありません。以下の2点についても考慮していきましょう。

従業員の資格の保有状況を把握する

衛生管理者、施工管理者、宅建士など、会社が事業を進める上で、法定の定足数を満たさなければならない資格があります。こういった資格は、本人から申請してもらわなければ、会社として取得状況を把握できません。

入社前から保有していたり、自費で取得していた場合は、会社として資格の保有状況を把握できません。福利厚生として手当を支給するインセンティブを付与することで、資格保有者を把握する意図もあります。

人件費との兼ね合いも考える

福利厚生のための費用も、会社の人件費予算から捻出されるものです。
福利厚生制度が手厚すぎで、毎月の給与の絶対額が少なすぎると、本業を頑張るよりも、福利厚生の手当をもらうことを頑張るインセンティブになりかねません。本業が疎かにならないようにしましょう。

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