【質問】就業規則統一に際しての規定内容の可否と注意点
当社は複数の工場を運営しており、現在、各工場で異なるパート社員の就業規則の統一する取り組みを進めています。以下の点についてアドバイスをお願いします。
- 業務外の金銭貸借を規則で禁止することは可能か。
- 会社行事などで所定労働時間を短縮する規定の記載可否と労使協定の要否。
- 無断欠勤14日以上での退職・懲戒解雇条件の記載可否。
- 契約期間中に私傷病が3ヶ月以上継続した場合の解雇規定の可否。
- 同一労働同一賃金の観点から、パート社員に退職金支給が必要か。
【回答】それぞれの項目は原則として記載可能、但し要件整理を
金銭貸借の禁止規定は記載可能
従業員間の金銭貸借を禁止する旨を就業規則に記載することは可能です。これは、職場内トラブルの防止という職場秩序維持の観点から合理的な制限と考えられます。業務時間外の行為に対する制限でも、生活権や職業選択の自由を著しく制限しない限り、記載は許容されます。

貸し借りが原因で職場環境が悪化するリスクを抑えるためにも、明文化しておく意義は十分にあります。
所定労働時間短縮の記載は問題なし
会社行事等により特定日に所定労働時間を短縮する旨を規定することは問題ありません。具体的な日程を明記する必要はなく、「業務カレンダーに基づき変更することがある」と記載すれば足ります。
また、労使協定の締結は不要ですが、労働条件通知書に「就業規則に準ずる」旨を記載すること、予定日を示すカレンダーを交付することが望ましい対応です。

事前説明がなくても法的問題はありませんが、トラブル防止のためにも丁寧な周知が重要です。
無断欠勤14日での退職・懲戒解雇規定も有効
無断欠勤開始日から14日間連絡がつかない場合に退職扱いとする規定は有効です。また、懲戒解雇の条項に同様の条件を記載することも問題ありません。
ただし、懲戒解雇の適用は慎重に行うべきで、通常は普通解雇や自然退職の規定と併用する形が適切です。除外認定の手続きは煩雑であり、実務では使われにくいのが現状です。

懲戒解雇条項に過度に依存せず、自然退職の要件と併せて記載するのがバランスの良い運用です。
私傷病での解雇条件追加も原則可能
契約期間中でも、私傷病による長期欠勤が継続する場合には、債務不履行に基づく解雇は原則可能です。明文化しておくことで、判断の一貫性が保たれます。
ただし、解雇とするか自然退職とするかは、運用上の配慮が求められます。目安として「3か月以上の欠勤」や「契約期間の2/3以上の欠勤」等を設定するのが適切です。

社会通念に照らして合理的な期間設定を行うことが、後々のトラブル予防につながります。
退職金制度の適用は職務内容により判断
同一労働同一賃金の観点からは、職務内容・責任が正社員と同一であれば、有期雇用者にも退職金の支給義務が生じます。
ただし、パート社員と正社員では通常、職責や貢献度に違いがあるため、制度設計上の差異は許容されます。たとえ支給義務が生じたとしても、退職金額の差を設けることは認められます。

制度設計時には、支給基準と支給額の妥当性を職務内容に照らして整理しておくとよいでしょう。
就業規則の見直しは職場環境整備の第一歩
就業規則の整備は、単なる書類作成ではなく、現場の運用や労使関係に直結する重要なルール作りです。特に、勤務態度や労働時間、退職・解雇の条件などはトラブルにつながりやすいポイントであり、明確なルールを定めておくことで、将来的なリスクを大きく軽減できます。今回のような多角的な検討を通じて、自社にとって最適な規程を整備していくことが、安心して働ける環境づくりにつながります。

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