企業での不祥事対応では、懲戒解雇や諭旨退職の判断が問われる場面があります。特に「退職金を不支給にできるか」は慎重な対応が求められる重要な論点です。今回は、実際の相談事例をもとに、処分の選択肢、就業規則の整備、退職合意書の書き方などを詳しく解説します。


【質問】諭旨退職で退職金を不支給にすることはできる?

懲戒解雇と諭旨退職の中間的な処分は可能か、また諭旨退職の際に退職金を不支給にしたいが、法的に問題ないか知りたい。


【回答】諭旨退職の扱いと退職金不支給の可否は就業規則次第

就業規則の記載内容によって処分方法や退職金の扱いが異なるため、事前に確認・整備しておくことが重要です。


■処分の種類は「就業規則」で定めた範囲内で判断

処分は懲戒解雇・諭旨解雇・降格・減給どが一般的で、「中間処分」という概念は制度上存在しません。就業規則に基づいて判断する必要があります。

「諭旨退職」は企業によって解釈が分かれるため、社内での定義と退職金規定との整合性を今一度見直すことが重要です。


■ 退職金不支給とするための2つの要件

① 就業規則・退職金規程に「非行があった場合は不支給」と明記されている
② 合意書で退職金不支給の旨を明文化している

これらがない場合、後から「退職金は出さない」と主張しても通らない可能性があります。

退職金不支給を従業員に納得してもらうためには、事前の文書整備と合意形成が不可欠です。


■ 就業規則を改訂しても「遡及適用」は困難

退職金規程に不備がある場合、後から改訂しても、すでに処分対象となっている従業員には適用できません。これは「不利益変更」にあたるため、法的な争いになれば企業側が不利になります。

処分直前の慌ただしい規程改訂は、リスクを高めるだけでなく、手続き面でも不備が生じやすくなります。


■ 論点整理と合意書での対策が重要

「退職金の不支給」や「申し立て放棄」「後から発覚した債務への対応」などは、合意書の記載で対処が可能です。あわせて、退職時の聴取や弁明の機会を丁寧に設けることも、手続き上の正当性を担保するために重要です。

「公正証書」は必須ではありませんが、本人署名入りの合意書は必ず残しておくべきです。


■ パワハラなどの後出しリスクにはどう備える?

在職中の人間関係やパワハラの申し立てが、退職後に行われるケースもあります。ただし、横領等の懲戒処分とパワハラの因果関係が明確でない限りは、処分の妥当性に影響しません

万一に備えて、退職時に「一切の申し立てを行わない」旨の一文を入れると、後々のトラブル防止に有効です。


■ 処分対応は「スピードと相談体制」がカギ

調査から処分までのプロセスは早めに完了するのが原則です。関係部署や専門家と連携しながら、「事実確認→弁明→判断→処分→合意」という流れを迅速かつ丁寧に進めることが望まれます。

処分対応で最も避けたいのは「感情的な判断」です。あくまでルールと記録に基づいた対応を徹底しましょう。


■社内処分の整備は、企業の信頼性を左右する

今回の相談から見えるのは、就業規則や退職金規程の整備がいかに重要かという点です。曖昧なままでは、処分も対応も後手に回りがち。重大な不祥事への対応が求められる場面では、企業の姿勢や手続きの正確さが問われます。

就業規則や退職金規程の見直しをご検討の際は、専門家へのご相談をおすすめします。

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