質問】請負契約の個人事業主が業務中に倒れた場合の労災保険適用について

会社より機器運送業務を請け負っていた個人事業主(以下B氏)が、荷下ろし中に心筋梗塞を発症し倒れるという事故が発生しました。B氏は労災保険に特別加入していますが、その加入内容は「機械組立据付業工事」となっており、実際の事故時の業務内容とは異なります。

このような状況下で、以下の2点についてご相談です。

B氏に特別加入の労災保険が適用される場合でも、加入内容と実際の業務に齟齬があることが、労災給付において問題になることはありますか?

B氏には特別加入の労災保険が適用されるのでしょうか?それとも、業務実態によっては、当社(A社)の労災保険が適用されるケースもあるのでしょうか?

【回答】業務実態により労働者性が認められる可能性も。加入内容との整合性が鍵

●原則は特別加入の労災保険が適用される

今回のケースは、B氏が個人事業主としてA社から業務を請け負っているため、原則としてはB氏の特別加入による労災保険の適用となります。

ただし、例外として、実質的にA社の指揮命令下にあり、B氏に労働者性が認められる場合には、A社の労災保険が適用される可能性もあります。過去の裁判例でも、個人事業主であっても「労働者」と認められた事例が複数存在します。

労働者性が認められやすい具体例

  • A社との請負期間中に他社の仕事をしていない
  • A社から作業時間の事実上の拘束があった
  • A社が現場指揮や材料の調達をしていた
  • A社の指示による作業内容の変更が日常的にあった

労災保険の適用判断においては、契約書面よりも実態が重視されます。「名目は請負、実態は労働者」の場合、企業側の労災責任が発生する可能性があります。

●特別加入と実際の業務内容が不一致の場合は注意

特別加入制度では、労災保険法第34条により、「加入時に申請した業務内容」に基づいて業務起因性を判断します。

B氏の名簿記載内容が「機械組立据付業工事」であり、事故が起きたのが「運送業務」であった場合、その運送業務が申請内容に該当しないと判断されれば、労災不支給となる可能性もあります。

また、心筋梗塞のような疾患の場合には、事故との因果関係(業務起因性)の立証も必要になります。

実務上、問題となりやすい点

  • 加入時の申請業務と実業務の内容が明確に異なる
  • 荷下ろし作業が「機械組立据付工事」に付随する業務と認められない
  • 疾病が業務に起因するか否かの判断が難しい

特別加入の範囲外と判断された場合、せっかくの保険加入も無意味になるリスクがあります。実務内容と加入申請内容が一致しているか定期的に見直す体制づくりが重要です。

●心筋梗塞による発症には業務起因性の判断が必要

今回のケースでは、怪我ではなく心筋梗塞による突然の発症であり、業務との関連性(過重労働・長時間勤務など)が労災認定の大きなポイントになります。

過去の裁判例でも、

  • 喫茶店経営者が脳出血で倒れた事例
  • 加工業者が過労死した事例

など、特別加入者の労災が認められたケースもありますが、いずれも労基署の不支給決定を遺族側が争った訴訟で勝訴したケースであり、ハードルは高いと言えます。

「過労死=即労災」ではありません。業務量・業務時間・勤務状況の記録や証拠が認定のカギになります。

まとめ

個人事業主が業務中に事故や病気で倒れた場合、

  • 原則は特別加入の労災保険が適用される
  • ただし、実態として労働者性が認められれば、発注元の労災保険が適用される可能性あり
  • 特別加入であっても、申請業務内容と実業務の一致、業務起因性の立証が必要

という3つの視点で判断されます。

企業としては、請負契約先であっても、労働者性を疑われる働き方になっていないか、また万一に備えて、委託内容と保険加入状況に齟齬がないかのチェック体制が重要です。

この記事は、頻出のご相談事例をもとに生成AIで作成しました。
生成AIでは「それらしい」回答は作れますが、”正確”や”現実的”という面で、経営と人事の世界で回答を利用するには物足りなさが残ります。

お客様の経営状況や人間関係を踏まえた上で、伝え方も含め、現実的な着地点をご提案することは、私たちが得意とする領域です。

記事をご覧になり、「弊社ならどうすれば良い?」と感じられた経営者様・人事担当者様は、ぜひ、私たちにご相談ください。