労働契約法では解雇についての規制がかけられています。解雇(雇用契約の終了)をする場合は、労働基準法の解雇規制に加えて、労働契約法の解雇規制もおさえておく必要があります。

労働契約法第16条(解雇の原則)

解雇とは「会社側が一方的に雇用契約を解消すること」であり、解雇には以下の3種類があります。

  • 普通解雇
  • 整理解雇
  • 懲戒解雇

整理解雇とは、会社の事業が立ち行かなくなった場合に行う解雇(いわゆるリストラ)で、懲戒解雇とは、懲戒処分(罰を与える)の一環として行う雇用契約の強制終了になります。なお、整理解雇には整理解雇の4要件というものがあります。

一般的に、病気で働けない、能力が低いといった理由で会社側が一方的に雇用契約を終了させる場合は「普通解雇」ということになります。

解雇の原則

解雇は好き勝手にできるものではなく、誰が見ても「それは仕方ないよね。。。」という状態でなければ、権利濫用と言われる可能性があります。

この「客観的」「合理的」がいまいち抽象度が高いのですが、ザックリいうと
誰が見ても「そりゃ、クビになってもしかたないわ・・。会社もいろいろ手を尽くしたのね、、」といえるかどうかで判断されます。

また、会社の規模・置かれている状況に応じて「どこまで解雇回避の努力を尽くしたのか?」の評価は異なるため、裁判例などを見て判断していくことになります。

例えば
・職種の転換や転勤、勤務時間数の変更など就労環境は変えたか?
・何をどこまで期待しているのか、繰り返し面談で伝えたか?
・スキル不足の場合、スキルアップのための機会を提供したか?
などの施策を打ってきたかどうかが評価されます。

解雇(労働契約法)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

労働契約法第17条(契約期間中の解雇等)

契約社員(有期雇用契約)の解雇

有期雇用契約(いわゆる契約社員)の場合、無期雇用契約(いわゆる正社員)よりも、解雇の制限が厳しくなっています。有期雇用契約を締結した場合、期間の途中で解雇するよりも、契約期間満了時に契約更新をしない「雇止め(やといどめ)」を行うことが一般的です。

契約期間中の解雇等(労働契約法)

第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

2 使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

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