「年少者」とは満十八才に満たない者のことを指します。年少者とは未成年と異なるのでしょうか?

また、コンビニの高校生のアルバイトと、小学生の子役のいずれも働いていますが、当然に保護される範囲は異なります「年少者」について、労働基準法などでどのような定めがあり、労務管理で配慮しなければならないのか説明していきます。

労働基準法第56条(最低年齢)

最低年齢

最低年齢

第五十六条 使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。

② 前項の規定にかかわらず、別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする。

最低年齢違反の労働者は雇用してはいけませんので、即時に解雇をしなければなりません。解雇をする場合は、解雇予告を支払うか、30日前に予告するいずれかを選択するのが原則です。しかし、30日前の予告とした場合、結果的に違法状態を認めることになりますので、解雇予告手当を支払って即時解雇すべきと解されており、行政通達も出されています。

「原則として、解雇予告手当を支払い即時解雇しなければならない」
(昭和23.10.18基収3102号)

満13歳未満満13歳以上
中学卒業まで
満18歳未満満18歳以上
高校卒業まで
20歳未満
呼称と
関係法令
児童(労基法)年少者
(労基法)
未成年者(民法)
原則
労基法第56条
雇用は禁止(労基法第56条)
違反の場合:30万円以下の罰金
制限なし
例外映画や演劇の事業(子役など)非工業的な職業炭鉱労働、重量物取扱業務、危険有害業務はNG制限なし
就労条件1.健康や福祉に有害ではないこと
2.労働が軽易なもの
3.所轄労働基準監督署長の使用許可を受けること
4.修学時間外であること
制限なし
備付帳簿
労基法第57条
1.年齢を証明する戸籍証明書
2.修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書
3.親権者または後見人の同意書
深夜勤務不可1.年齢を証明する戸籍証明書制限なし
深夜勤務の例外制限なし
深夜時間帯午後8時から午前5時
演劇の場合:午後9時から午前6時
午後10時から午前5時
変形労働時間※2適用不可適用不可。ただし一定の特例有制限なし

労働基準法第57条(年少者の証明書)

年少者の証明書

年少者の証明書

第五十七条 使用者は、満十八才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。

② 使用者は、前条第二項の規定によつて使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。

労働基準法第58条(未成年者の労働契約)

未成年者の労働契約

未成年者の労働契約

第五十八条 親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない。

② 親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。

労働基準法第59条(未成年者の労働契約)

未成年者の労働契約

第五十九条 未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。

労働基準法第60条(労働時間及び休日)

労働時間及び休日

労働時間及び休日

第六十条 第三十二条の二から第三十二条の五まで、第三十六条、第四十条及び第四十一条の二の規定は、満十八才に満たない者については、これを適用しない。

② 第五十六条第二項の規定によつて使用する児童についての第三十二条の規定の適用については、同条第一項中「一週間について四十時間」とあるのは「修学時間を通算して一週間について四十時間」と、同条第二項中「一日について八時間」とあるのは「修学時間を通算して一日について七時間」とする。

③ 使用者は、第三十二条の規定にかかわらず、満十五歳以上で満十八歳に満たない者については、満十八歳に達するまでの間(満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日までの間を除く。)、次に定めるところにより、労働させることができる。

  1. 一週間の労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、一週間のうち一日の労働時間を四時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を十時間まで延長すること。
  2. 一週間について四十八時間以下の範囲内で厚生労働省令で定める時間、一日について八時間を超えない範囲内において、第三十二条の二又は第三十二条の四及び第三十二条の四の二の規定の例により労働させること。

労働基準法第61条(深夜業)

深夜業

深夜業

第六十一条 使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。

② 厚生労働大臣は、必要であると認める場合においては、前項の時刻を、地域又は期間を限つて、午後十一時及び午前六時とすることができる。

③ 交替制によつて労働させる事業については、行政官庁の許可を受けて、第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、又は前項の規定にかかわらず午前五時三十分から労働させることができる。

④ 前三項の規定は、第三十三条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させる場合又は別表第一第六号、第七号若しくは第十三号に掲げる事業若しくは電話交換の業務については、適用しない。

⑤ 第一項及び第二項の時刻は、第五十六条第二項の規定によつて使用する児童については、第一項の時刻は、午後八時及び午前五時とし、第二項の時刻は、午後九時及び午前六時とする。

労働基準法第62条(危険有害業務の就業制限)

危険有害業務の就業制限

危険有害業務の就業制限

第六十二条 使用者は、満十八才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。

② 使用者は、満十八才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。

③ 前項に規定する業務の範囲は、厚生労働省令で定める。

労働基準法第63条(坑内労働の禁止)

坑内労働の禁止

第六十三条 使用者は、満十八才に満たない者を坑内で労働させてはならない。

労働基準法第64条(帰郷旅費)

帰郷旅費

帰郷旅費

第六十四条 満十八才に満たない者が解雇の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。ただし、満十八才に満たない者がその責めに帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定を受けたときは、この限りでない。

あわせて読みたい

そもそも「女性(妊産婦)」の保護とは?

法律の”そもそも”に立ち返る

「女性(妊産婦)」は就労にあたって配慮が必要とされています。この記事では「女性(妊産婦)」について、労働基準法などでどのような定めがあり、労務管理で配慮しなければならないのか、妊娠中、産後1年以内の女性の保護などについて説明していきます。

”ありかた”を見直す

人材教育・企業風土コンサルティング

弊社のグループ会社である、アイプラスHRコンサルティング株式会社では、「自社らしさ」を見つけ、継続的な成長を目指す。ポストコロナの時代に添ったコンサルティングを提供しています。