【質問】懲戒調査中の自宅待機期間、賃金は支払うべき?

現在、社内で不正行為の疑いがある社員に対し、懲戒処分の可能性を踏まえて調査を行っています。この社員には一時的に自宅待機を命じていますが、この期間の賃金支払いについて悩んでいます。就業規則には「自宅待機時は無給」のような記載はありません。

また、仮に懲戒解雇を行う場合、労働基準監督署への事前相談が必要かどうかも判断に迷っているポイントです。

さらに、当該社員には横領等、会社への損害の疑いもあるため、退職後の弁済が難しくなることを懸念し、自宅待機中の賃金を一部保留できないかも検討しています。

このような状況で、法的・実務的にどのような対応が可能か教えてください。


【回答】自宅待機中でも賃金支払いが必要

基本は賃金支払いが必要、保留には原則制限あり

懲戒処分が確定していない限り、自宅待機中であっても賃金の支払い義務が生じます。また、賃金の保留は労基法に反するため、原則として行うことはできません

懲戒処分が未確定の段階では推定無罪が前提となるため、会社が労務提供を拒否している以上、労働者には賃金支払い義務が生じます
特に以下の点が重要です。

  • 労働基準法の「全額払いの原則」
  • 民法536条2項の危険負担の原則

これらにより、賃金は全額支給する必要があります
また、就業規則に「自宅待機中は無給」と記載があっても、労基法・民法が優先されるため無効となります。

会社の裁量で無給とすることは原則認められません。「しらぬ顔で無給にし、後で指摘されれば支払う」という対応も見られますが、労使信頼の面では慎重な運用が求められます。


■ 懲戒解雇には労基署への手続きが必要?

懲戒解雇でも、原則として30日前の解雇予告または予告手当が必要です。ただし、重大な違反があった場合は、労働基準監督署に「解雇予告除外認定申請書」を提出すれば予告が不要になる可能性があります

  • 申請 → 労基署が事実確認 → 認定の流れ
  • 審査にはおおよそ2週間程度を要します

懲戒解雇でも監督署の認定が必要になることがある点は、見落としがちな落とし穴です。


■ 弁済が見込めない場合、賃金の保留は可能?

原則として賃金の保留はできません。
労働基準法では「賃金は全額、一定期日に支払う」ことが定められています。
対応策としては以下の方法があります:

  1. 現金払いとし、取りに来ないと受け取れない形にする
  2. 本人の書面同意を得て一時保留する
  3. 退職金・賞与など恩恵的な支給分に対して保留を検討

また、横領等の重大な損害があれば、身元保証人への請求や刑事告訴も視野に入れるべきです

賃金の保留は慎重に行う必要があります。合意や代替手段を使ってリスクを軽減する運用が求められます。


懲戒処分の確定前に自宅待機を命じた場合でも、労働者には賃金を支払う義務があります。
また、懲戒解雇時には監督署への除外認定申請が必要なケースもあり、手続きの見落としが重大なトラブルを引き起こす可能性もあります。

横領等で損害が発生している場合でも、賃金支払いの保留は原則できないことを念頭に置き、代替策や法的対応を検討することが必要です。

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