当たり前のように使っている「休憩と休日」も労働基準法で定められています。この記事では「休憩と休日」について、労働基準法などでどのような定めがあり、労務管理で配慮しなければならないのか、休憩、休日の基準、休憩、休日の与え方などについて説明していきます。

労働基準法第34条(休憩)

休憩と休日の原則

休憩

第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

労働基準法第35条(休日)

休日

会社は、従業員に少なくとも

  • 毎週1日
  • 4週間のうち4日以上

休日を与えなければなりません。

休日

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

「法定休日」と「所定休日」の違い

使い分けられていないことが、しばしばありますが、「休日」と言っても「法定休日」と「所定休日」があります。

「法定休日」と「所定休日」の定義

  • 「法定休日」とは、労働基準法第35条で定められている休日で、毎週1日か、4週で4日与える義務があります。
  • 「所定休日」とは、法定休日以外に会社が与えている休日です。

割増賃金の計算も異なる

また、割増賃金の計算も異なります。

  • 「法定休日」に出勤した場合、休日労働の割増賃金(135%)が支払われる
  • 「所定休日」に出勤した場合、時間外労働の割増賃金(125%)が支払われる。

「当社は法定の最低限で運用している」という企業で、土日両休日とも135%で支払っている会社も見受けられたこともあります。
長期間この状態が続いていたにも関わらず、会社が一方的に土曜日の割増賃金を125%に修正した場合、既得権や期待権が認められ、不利益変更になりかねませんので注意が必要です。

土日に勤務した場合、土曜・日曜のどちらが法定休日になるか?

休日労働に対する割増賃金のトラブル防止のためにも、法定休日がいつなのか就業規則で定めておくことが望ましです。

なお法律上は法定休日を特定することが義務づけられていませんので、就業規則には特に記載しない場合もあります。定めがない場合、行政通達の基準によって土曜日が法定休日になります。

昭63.1.1基発第1号

暦週とは、就業規則等によって別段の定めがない場合は、日曜日から土曜日までの暦週と解される。

厚生労働省労働基準局監督課「改正労働基準法に係る質疑応答」Q.10 (平21.10.5)

法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる
4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となる。

一般的な感覚では日曜日が法定休日のイメージが強いですが、特に定めがなく法律通りに運用すると土曜日が法定休日になります。

「日曜日を法定休日にしたい場合」、もしくは「平日と土曜日が定休日」で4週4日の休日制度でない会社は、きちんと法定休日を就業規則にて明示しておきましょう。

あわせて読みたい

そもそも「休職復職」とは?

法律の”そもそも”に立ち返る

「休職復職」とは病気等の理由によりお休みをすることです。この記事では「休職復職」について、労働基準法などでどのような定めがあり、労務管理で配慮しなければならないのでしょうか?

”ありかた”を見直す

人材教育・企業風土コンサルティング

弊社のグループ会社である、アイプラスHRコンサルティング株式会社では、「自社らしさ」を見つけ、継続的な成長を目指す。ポストコロナの時代に添ったコンサルティングを提供しています。