労働条件審査の審査項目とは?
労働条件審査とはなにか
労務監査のうち、労働関係諸法令の順守状況をチェックする「労働条件審査」と呼んでいます。
労働関係諸法令で定められている帳票が備え付けられているか、その帳票は法定で求められる項目が記載されているかを審査します。
また、その給与計算や社会保険料の計算方法が、法定通りの適切な計算方法で計算されているかを審査します。
労務監査・労働条件審査をご存知ですか?
労務監査とはどのようなものか?近年は労働トラブルや労働紛争が多くなっています。「予防のために普段の労務管理をきちんとしておく」ために、どのようなことをすれば良いのでしょうか?
労働基準法関係
労働基準法にする審査項目は、勤怠管理の状況や特殊な勤務形態を適切に管理できているかなど、日々の労務管理について審査を行います。
また、入社時(雇入時)の時の労働条件の通知や、労使協定の選任方法などについても審査していきます。
主な審査項目
- 「労働条件通知書・雇用契約書の記載内容」
- 「採用・試用」
- 「賃金台帳の法定記載事項」
- 「労働者名簿」
- 「タイムカード・出勤簿」
- 「労働時間・休憩・休日」
- 「年次有給休暇」
- 「休暇」
- 「賃金・賞与・退職金」
- 「懲戒処分」
- 「退職」
- 「休職・復職」
- 「服務規律」
- 「36協定」
- 「裁量労働制」
- 「1ヶ月単位の変形労働時間制」
- 「フレックスタイム制」
- 「1年単位の変形労働時間制」「対象期間の分割」「特定期間」
- 「1週間単位の非定形的変形労働時間制」
- 「割増賃金計算方法」
- 「労働者代表選任」
- 「法定帳票・記録の保存」
労働安全衛生法関係
勤怠や賃金の労働基準法については、多くの企業が意識していますが、労働安全衛生法についても当然に順守が求められます。
企業の従業員数に応じて、安全衛生の管理体制は異なるため、事業の状況が変化した結果、法令違反となってしまっているケースもあります。
主な審査項目
- 「安全衛生管理体制」
- 「健康診断」
- 「安全衛生教育」
男女雇用機会均等法関係
セクハラに代表されるような性差による差別は、一昔前とは異なり徐々になくなりつつありますが、まだまだ知らずに使っていたといったこともあります。
労働条件審査では、男女雇用機会均等法にする審査項目も含まれています。
主な審査項目
- 「母性健康管理」
- 「性別による差別的措置」
高年齢者雇用安定法関係
定年後再雇用の問題や、中高年齢者の有期雇用社員の無期転換などの労務問題が発生しています。高年齢者について適切な処遇が行われているか、高年齢者雇用安定法にする視点での審査項目も設定されています。
主な審査項目
- 「継続雇用制度」
育児・介護休業法関係
セクハラ・パワハラのように、近年は「マタハラ」が問題としてあげられることがしばしばあります。
また、育児休業・介護休業に関する法律は、なじみが薄く分かりにくいため、法令順守が十分でないこともしばしば見受けられます。労働条件監査では育児休業・介護休業法にする審査も行っていきます。
主な審査項目
- 「育児休業制度・介護休業制度」
- 「育児時短制度・介護時短制度」
- 「時間外・深夜労働制限」
健康保険・厚生年金保険法関係
保険料の負担額に目線が行きがちな社会保険料ですが、保険の加入条件や保険料額の計算は意外と複雑なものです。正しい社会保険料が納付されているのかについても、労働条件審査で確認をしていきます。
主な審査項目
- 「保険関係加入要件」
- 「保険料計算の妥当性」
- 「保存期間」
労災保険・雇用保険法関係
労災保険料は毎月の給与明細に明示されませんし、雇用保険料も社会保険料ほどに高額ではなくあまり注目されにくいかもしれません。
しかし、年に1回保険料を確定させ翌年に支給する形で保険料を計算するため、社会保険の保険料計算とは計算の方法が異なります。
労働条件審査では、労働者災害補償保険法(労災保険)・雇用保険法についても審査を行います。
主な審査項目
- 「保険関係加入要件」
- 「保険料計算の妥当性」
- 「保存期間」
その他
労働関係の諸法令のほかに、関連する法律や給与計算のやり方などについても法令順守を求められます。これらの項目に関しても労働条件審査を行っていきます。
主な審査項目
- 「異動・配転」
- 「ハラスメント(セクハラ・パワハラ等)」
- 「個人情報・情報管理」
- 「労働者の定義」
- 「管理監督者性」
- 「年少者・外国人・派遣労働者等」
- 「勤怠集計ルールの妥当性」
- 「給与計算ルールの妥当性」
- 「雇用契約・契約期間の管理・運用」
潜在債務審査(未払い賃金の有無)
管理監督者ではないにもかかわらず、管理監督者として時間外労働や休日労働の割増賃金を支払っていない(名ばかり管理職)や、専門業務型裁量労働制の適用が不適切な運用をされており、未払賃金が存在している、退職金規定通りの退職金の積み立てが行われていないなど、潜在的な債務の有無を審査します。
潜在債務審査では、労働者の一人ひとりの状況の確認と給与計算の結果を確認し、具体的にどの程度の労働関係の債務が存在しているのかを試算していきます。
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