コラム・レポート

2020-04-24

コロナの影響で業績が厳しいときの休業以外の休ませ方と人件費の抑制方法

労働相談&労働トラブル 助成金

コロナウィルスの影響で、会社や店舗の休業をせざるを得ない状況の企業も多くあると思います。売上が見えない中で、従業員の人件費を払い続ける体力がいつまでも続くことはできません。やむを得ず、人員の削減、つまり解雇を考えざるを得なくなる企業も出来ると思います。

経営者であれば、誰であっても従業員の生活を思い、雇用の維持を考えることは当たり前と思います。ただ、休業や休暇が混在して語られることがあり、ゆくゆくの労働トラブルの原因になりかねないか心配をしています。

人件費を抑制したり、従業員に休んでもらうために、どんな方法があるか書き出してみました。
※日当1万円の人に対して、会社都合で休業させるor 労働時間や賃金を40%カットする場合で比較してみました。

「休業ありき」ではなく、いろいろな方法を知ってもらいたいと思います。

 

Contents

世間で話題になっている、”いわゆる”「休業」

1日8時間勤務&日給10,000円の人を「休業命令を出し」60%休業補償(休業手当)を払って強制的に休ませる場合(いわゆる休業です。)

・現行の労働時間  :8時間
・カット後労働時間 :0時間(休ませているため当然0時間)

・現行の賃金    :10,000円
・カット後の賃金  :6,000円(10,000円×(1-40%)=6,000円):休業手当です
・雇用調整助成金の額:5,400円(6,000円×9/10:厳密には平均賃金の9/10)

・必要な書類    :休業命令

「従業員から休業の日を申請してもらう」と思われがちですが、休業とは会社側の都合で一方的に労働者を休ませるものを休業と言います。会社側から命令するので、従業員からの申請はありませんし、「休業申請書」なるものは存在しえません。
休業中は仕事を休んでもらう訳ですから、休業中の労働時間は0になります。働かせることは当然にできません。また、雇用調整助成金もすぐにもらえるものではなく、しばらくの期間の立替が必要になります。

 

休業手当は「給料の6割が補償される」ではない

文中では分かりやすく、10,000円×60%としていますが、正確には平均賃金を計算します。
平均賃金は、「3か月の総賃金÷3か月の歴日数」(営業日ではないのがポイント。土日祝日も含めた暦日です!!)で計算するので、実際の金額は5,400円も支給されません。

ザックリ計算すると、1月30日×3か月(90日)のうち、各月20営業日稼働していたら、
・10,000円×20営業日×3か月=600,000円
・60,000円÷90日  =6,667円(1日の平均賃金
・6,667円×60% =4,000円(1日の休業手当の金額)
・4,000円×9/10 =3,600円(雇用調整助成金の額:中小企業&解雇無しの場合)

5,400円助成金が出ると思っていると、思わぬ落とし穴があることも注意です。

 

賃金カットをする(労働条件の変更)

1日8時間勤務&日給10,000円の人を、単に40%賃金カットをする場合(労働条件の変更)という方法もあります。

・現行の労働時間  :8時間
・カット後労働時間 :8時間(単なる賃金カットなので労働時間は変わらない)

・現行の賃金    :10,000円
・カット後の賃金  :6,000円  10,000円×(1-40%)=6,000円
・雇用調整助成金  :支給されない。
(労使で合意して労働条件を変えているため、使用者側の一方的な休業命令ではありません)

・必要な書類    :労使の合意書

この方法を取る場合は、賃金の額(人件費)は減りますが、労働時間は減りません。「給料は払えないけど仕事はある」というケースです。
もちろん、労働条件の変更ですので労使の合意が必要になります。このパターンは役職者や幹部社員の役職手当をカットするなどという形で、人件費を抑制する方法です。
例えば、幹部社員に支払われる「役職手当」であったり、外回りができなくなったのであれば「外勤手当」など、説明しやすい手当から削減の余地がないか考えてみてはいかがでしょうか?

幹部社員であれば、社内での報酬の額は相対的に高いので、賃金カットがあたえる生活への影響は相対的に低いと思いますし、幹部であれば会社の状況を理解して、会社の要請に応諾してくれるものと考えます。

 

労働時間の変更、もしくは遅刻・早退

1日8時間勤務&日給10,000円の人の労働時間を6割に「労働条件」を変更する
もしくは、労働者の意思で6割の時点で早退してもらうというのも、選択肢としてあり得ます。

・現行の労働時間  :8時間
・カット後労働時間 :4.8時間  8時間×60%=4.8時間

・現行の賃金    :10,000円
・カット後の賃金  :6,000円 : 10,000円×(1-40%)=6,000円
・雇用調整助成金  :支給されない。

・必要な書類    :労使の合意書/(早退)届出書

休業ではなく、労使で合意をして労働時間を減らす方法です。
労使で合意して労働条件を変えているため、使用者側の一方的な休業命令ではありません。

 

特別休暇を与える

1日8時間勤務&日給10,000円の人の労働時間を6割にするが、残りの4時間は特別休暇(有給)を付与する方法もあります。
賃金は全額支給したいが働いてもらう必要もないという、資金力に余裕がある会社の選択肢になります。

・現行の労働時間  :8時間
・カット後労働時間 :4.8時間  8時間×60%=4.8時間

・現行の賃金    :10,000円
・カット後の賃金  :10,000円
・雇用調整助成金  :支給されない。(単なる休暇になります。)
・必要な書類    :特別休暇申請書

従業員の生活確保を優先しますが、相対的に人件費の抑制という意味では効果がありません。休業が長期戦とならないと予想している場合や、潤沢な資金を持っている場合の選択肢かと思います。

まとめ

特別休暇以外は、いずれも会社が支払う人件費はいずれも3万円なのですが
内訳が異なりますし、休業以外の選択肢もあることをご承知ください。

書き出してみましたが、いろいろなパターンがありますね。。

 

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