コラム・レポート

2020-04-13

社員を休ませたときの休業補償の金額はどうやって計算すればいいの?(休業手当の計算方法)

給与計算 代表&スタッフコラム 人事制度&賃金制度

政府や都道府県から企業活動の自粛を求められており、従業員を休業させざるを得ない会社様もたくさんあると思います。

会社都合で従業員を休業をさせた場合は、休業補償(休業手当と言います)を支払う必要があるのですが、休業補償(休業手当)の金額は単純に月給を日割り計算するものではありません。今回は、休業手当の金額の計算方法について紹介したいと思います。

休業手当の計算式

休業期間中の休業手当は、労働基準法 第26条(休業手当)にもとづき、平均賃金の60%以上を支給します。
この「平均賃金」とは何かというと、労働基準法 第12条に定義が定められており、休業補償(休業手当)の計算は、この労働基準法第12条を踏まえて計算していくことになります。

ですので、休業手当の金額を計算するには、以下の2つのステップを踏む必要があります。

・平均賃金の額 = 事由発生日以前3か月間の賃金総額÷事由発生日以前3か月間の総日数
・休業手当の額 = 平均賃金 × 60/100 × 休業日数

(根拠条文)
—————-
■労働基準法第26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の 100 分の 60 以上の手当を支払わなければならない。

■労働基準法第12条(平均賃金)
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間に、その労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。
2 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。(一部省略)

 

いつから3か月なのか?

簡単に「3か月」と書いていますが、この3か月が曲者で「いつから3か月」なのでしょうか?
使用者の責めに帰す休業の場合、原則は「その休業日」が起算日となり、「休業期間が2日以上の場合は、その最初の日になります。」


「そんなこと言われても、給与計算は月単位で計算しているのだから、過去3か月分日割り計算するんかい!」

とツッコミたくなりますが、安心してください。ちゃんと解釈例規が用意されています。
賃金の締切日がある場合は、「算定事由の発生した日の直前の賃金締切日から起算する」となっています。

この「日の直前の賃金締切日」というのが分かりにくく、例えば、毎月末締めであったときに、6月30日に休業の初日とした場合(算定事由が発生した日です)、6月30日は賃金の締日ですが「直前の賃金締切日から3か月」になりますので、5月31日からさかのぼって3か月になります。
(7月1日から休業開始ならば、6/30からさかのぼって3か月です)

ちなみに「90日」という言葉も飛び交いますが、必ずしも正しい数字ではありません。
あくまでも「3か月間の総日数」(90日になるとは限らない)で計算していきます。

 

「賃金の総額」には何を含めるのか?

今度は分子である「賃金の総額」には何を含めるのかが問題になります。
賃金の総額には「臨時に支払われた賃金」「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」は参入しません。(逆にいうと、それ以外は賃金に参入することになります)

臨時に支払われた賃金

臨時に支払われた賃金とは、支給事由の発生が不確定であり、かつ非常にまれに発生するものを指します。例えば、「私傷病手当」「加療見舞金」「退職金」が当てはまるとされます。

3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

年に2回の賞与などがこれに該当しますが、四半期賞与は「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」ではありませんので賃金に含まれることになります。昔、社会保険料を節約するために四半期賞与を導入していた企業もありますが(今は出来ません)、そういった賞与は平均賃金に含めることになります。

通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの

「属しないもの」を考えるまでに、「一定の範囲に属すもの」とは「労働協約(労働組合と使用者で締結する協約を言います)で定められたものになります。そもそも、実物の給付は、発生することが考えにくいものです。
なぜならば、賃金には賃金支払いの5原則というものがあり、その中に「通貨払いの原則」があるので、実物で支給されるものは例外と考えてください。例外的に労働協約で定めたものが認められ、その例外が「一定の範囲に属しないもの」になるので、実務上は考慮する必要はないと思います。

 

平均賃金の算定期間中に特殊な勤怠をした者は要注意

平均賃金の計算の基本は前述のとおりですが、平均賃金算定期間中に以下の条件を満たした場合は、その期間については「期間」と「金額」の両方を除外しなければなりません。

  1. 業務上負傷し、または疾病にかかり休業した期間(要は労災ですね。)
  2. 産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間
  3. 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
  4. 育児休業、介護休業の期間(細かい定義がありますが、ザックリと書きます。)
  5. 試みの使用期間

ちなみに、誤解されやすいのですが「産前産後期間」と「育児休業期間」は異なります。平均賃金の算定に限らず要注意です。


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