離職手続きの注意点~ハローワーク 離職証明書~
社会保険&労働保険の手続き年末は退職が多くなる時期です。
社会保険、雇用保険の喪失手続、源泉徴収票の発行、業務の引き継ぎ、会社からの貸与物の回収などをスムーズに進めたいです。
雇用保険の喪失手続、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」は、退職者とトラブルになるリスクが高い手続書類です。
厚生労働省では、平成30年10月に「雇用保険に関する業務取扱要領」を発表しています。要領の中で、「離職証明書」の賃金について記載があります。
下記に一部抜粋します。
イ 賃金日額の算定の基礎となる賃金は、被保険者として雇用された期間に対するものとして同期間中に事業主の支払い義務が確定した賃金であり、原則として最後の完全な6賃金月の労働の対価として支払われるべき賃金が基本手当算定の基礎となる賃金である。
したがって、事業主の支払義務が被保険者の離職後に確定したもの(例えば、離職後において労使間に協定がなされ、離職前にさかのぼって昇給することとなったような場合をいう。)は、賃金日額の算定の基礎となる賃金には参入しない。
また、欠勤や超過勤務があり、これらに係る欠勤控除や超過勤務手当が基本給と別途の支払いとなる場合であっても、離職証明書には実際の欠勤や超過勤務があった月の賃金として計上すべきものである。
例えば、退職日11/30、給与の締め支払日が、
固定給は、当月末締め、当月20日払い、
時間外手当の支払いは、当月末締め、翌月20日払いのとき、
・10/20払い給与
本給 400,000円
時間外手当(9/1~9/30分)50,000円
支給合計 450,000円
・11/20払い給与
本給 400,000円
時間外手当(10/1~10/31分)80,000円
支給合計 480,000円
・12/20払い給与
時間外手当(11/1~11/30分)25,000円
支給合計25,000円
とすると、
離職証明書には、
⑩賃金支払い対象期間 11月1日~離職日
⑪⑩の基礎日数 30日
⑫賃金額A 425,000円
⑩賃金支払い対象期間 10月1日~10月31日
⑪⑩の基礎日数 31日
⑫賃金額A 480,000円
と、時間外手当を実際の超過勤務があった月に算入します。
そのために、賃金台帳と離職証明書の金額合計は一致しますが、支払日の金額は異なってきます。
資格喪失届の手続きは、「被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内」ですので、12/20給与の金額確定まで、離職証明書の手続きができないことを回避するため、⑫賃金額を「未計算」と記載して、いったんハローワークで手続きを完了し、賃金が確定したら、ハローワークに連絡するという方法があります。
退職後のスムーズな事務手続きのご参考にしてください。
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