【労務管理Q&A】これって、ハラスメント!?
■アイプラスからのご案内 スタッフコラム アイプレス何度、指導・注意しても改善が見込めない従業員を、配置転換したい…!
【相談内容】
経理担当の女性従業員Aさんは、確認不足による単純なミスの繰返しや、顧客からの請求確認に粗悪な対応をしたことによるクレーム発生が頻発していました。
何度、注意・指導しても改善されず、また、本人に変わろうとする意思が見受けられなかったため、細かな確認作業を伴う業務や、顧客対応を必要とする業務に就くことは不適任と判断し、周囲のサポートを得やすい物流倉庫担当に配置転換しました。
物流倉庫担当には重量物の積み下ろし作業がありますが、女性であるAさんにとって重量物を取り扱うことは容易ではなく、割り当てられた作業をこなせないことが多々あったようで、同職場の同僚や上司からは厳しい物言いをされていました。
ほどなくしてAさんは出社しなくなり、「配置転換は不当でありパワハラだ」という訴えを起こしてきました。
【解説】
指導・教育をしても改まらないローパフォーマー対策として行われた配置転換ですが、配転先業務における適正の見極めをせず、肉体的・精神的苦痛を与える配転はパワハラに該当する可能性があります。
過去には、
「当該配転を命じる業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該配転が他の不当な動機・目的を持ってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときなど特段の事情がある場合は、当該配転命令は権利の濫用に当たる。」
とされた判例もあります。
【このようなケースへの対応】
いわゆるローパフォーマー対策として配転を実施する場合に、一般論では権利の乱用に該当することは理解しつつも、本人の勤務態度等に問題があった時など、他の配転先が見つからず、適性がないとわかりつつ配転先を決定してしまう場合もあるかもしれません。
配転の目的が「退職させること」に切り替わってしまうとトラブルに発展、訴訟の可能性が発生しかねないため、職場の士気や生産性の維持など、事業運営上一定の必要性の上で配転を決定しなければなりません。
配転させる場合には、本人の適正や希望を踏まえ、可能な限り機会を与えながら配転先を決定する必要があります。また、配転先の上司や責任者に対して「無視」「隔離」「排除」はしないよう、周知してきましょう。
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