次世代法に「不妊治療を受ける労働者を配慮した措置の実施」が追加されます
厚生労働省の公表情報 労働相談&労働トラブル令和3年4月1日から次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針に「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」が追加されます。なお、追加内容は以下の通りです。
■以下のような措置を講ずること
・不妊治療のために利用することができる休暇制度(多目的休暇を含む)
・半日単位・時間単位の年次休暇休暇制度
・所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワーク等
■この場合、下記の取組を併せて行うとこが望ましいこと
・両立の推進に関する取組体制の整備
・社内の労働者に対するニーズ調査
・企業の方針や休暇制度等の社内周知、社内の理解促進、相談対応
■不妊治療に係る個人情報の取扱いに十分留意すること。
厚生労働省は「行動計画策定指針の内容を参考に、休暇制度や柔軟な働き方の導入について検討していただき、会社内における不妊治療等に対する理解の促進に努めてほしい」としています。
少子高齢化が加速する流れを受けて、2020年12月に不妊治療費用に対する助成金の総額を約370億円(2020年当初予算151億円の約2.5倍)に拡充する方針を固めました。さらに2022年からは公的医療保険を適用する方向性を示しています。不妊治療の費用は体外受精1回あたり20~60万円、顕微授精1回あたり25~70万円になります。もし保険適用が実現されたら全額負担から3割負担になり、不妊治療を受けている方の大きな手助けになることは明白です。
費用面での負担削減は着実に進展していますが、不妊治療を受けながら働く女性が多いなかで、企業の不妊治療に対する理解はどれほどすすんでいるのでしょうか。平成29年度に厚生労働省が実施した調査では34.7%の人が「仕事不妊治療と仕事の両立ができなかった(または、両立できない)」と回答し、15.8%の人が実際に「両立できずに仕事を辞めた」と回答をしています。
不妊治療は、受けている人が公表しないケースが多く細かい治療方法や費用について知らない人がほとんどです。しかしながら、不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は18.2%にものぼり、これは夫婦全体の5.5組に1組の割合ですので決して無縁の問題ではありません。
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000705287.pdf
(参考元:厚生労働省「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」)
今回の行動計画策定指針の追加によって、不妊治療を受けている方の職場環境はどれほど改善されていくのでしょうか。改善をすることで、優秀な人材の離職を防ぎ従業員の安心感やモチベーションの向上にも繋がります。また取り組みを上手にPRすることで新しい人材の獲得もできるでしょう。その為にはまず企業が不妊治療について知り、従業員に理解を広めることが必要です。厚生労働省では、事業主様・人事部門様向けにマニュアルを発行していますので、ぜひご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30k.pdf
(参考元:厚生労働省「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」)
少子高齢化は日本に住む誰しもが関係する重大な問題です。一人ひとりがその意識を持ち、子育てをしたいと志す人に寄り添う気持ちが大切なのではないでしょうか。