コラム・レポート

2021-03-03

従業員の副業を許可するべきか

厚生労働省の公表情報 給与計算 労働相談&労働トラブル 求人&雇用&人材育成

不況と言われる昨今、厚生労働省でも「働き方改革実行計画」において副業・兼業の普及促進を図っています。もし副業をしたいと従業員から申し出があった場合、会社として認めるか否か頭を抱えるところかと思います。

まず労働基準法や民法には副業を制限するようなものはなく、社員の副業を禁止することは法律上では認められていません。しかし以下の4つの事項に該当する場合は禁止することが可能です。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 企業秘密が漏洩する場合
  • 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  • 競業により、企業の利益を害する場合

よって副業を許可するか否かは会社の慎重な判断に委ねられています。実際に副業を許可する場合、以下のことを留意しておかなければなりません。

労働時間の把握…労働基準法では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」とされておりますので、副業先での就業時間を把握し長時間労働にならないように配慮することが望ましいです。

健康管理…長時間労働や不規則な労働による健康障害を防止する為、働き過ぎにならないよう副業の状況もふまえ、時間外・休日労働の免除を行うほか、適切な健康確保措置を実施する必要があります。

社会保険の加入…従業員が副業先で社会保険の適用要件に満たしている場合は副業先でも加入義務が発生します。その場合の社会保険料は、自社での賃金と副業先の賃金を合計し、各企業で按分して計算することになります。

副業を許可するメリットとしては

  • 別の会社に就き知識や経験を得ることでスキルアップが期待できる
  • 従業員の定着率が上がり優秀な人材の流出を防ぐことができる
  • 社外から得た情報や人脈を取り入れることで事業拡大に繋がる

が挙げられますが、労務管理者としては従業員の副業先における状況の把握・管理もしなくてはならない為、負担が増える事実は否定できません。政府が推進していることもあり、副業をしたいという従業員は今後増えていくと考えられます。開始前に合意書や労働時間の申請方法を定めておく等充分に準備しておく必要がありそうです。

また厚生労働省では「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発行しておりますので、ぜひご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000695150.pdf

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