コラム・レポート

2019-07-22

労働基準監督署の臨検監督の違法内容と違反率

厚生労働省の公表情報

各労働基準監督署が取り組み状況について公表しています。

千代田区、中央区、文京区、島部を管轄とする中央労働基準監督署は平成31年度の重点対策として下記の3点をあげています。

  • 1働き方改革のために
  • 2安全で健康に働くことができる職場づくりのために
  • 3被災労働者とその家族が安心して生活するために

「1働き方改革のために」の中の取り組み内容のひとつとして、改正労基法等に基づく長時間労働の是正及び過重労働による健康障害防止対策を行うとし、より具体的には、

  • ①時間外労働・休日労働に関する協定届の適正な締 結と上限規制の遵守
  • ②長時間労働(月80時間を超える時間外・休日労 働)が疑われる事業場に対する監督指導の実施

を重点に置き、取り組んでいるようです。

労働基準監督署の臨検監督時の違法内容と違反率

ちなみに、臨検監督の違法内容と違反率は多い順から以下のようになっています。(平成31年度)

  • 労働時間    19.3%
  • 割増賃金    18.9%
  • 健康診断    12.6%
  • 安全基準    7.5%
  • 賃金台帳    6.4%
  • 就業規則    6.3%
  • 労働条件の明示 6.2%
  • 衛生管理者   5.7%
  • 安全衛生委員会 5.5%

どういった違反なのか詳細はわかりませんが、この違反内容を見て、自社は大丈夫かな?と不安になられた企業様はいらっしゃいませんか。

監督指導による賃金不払残業の是正結果

労働基準監督署が監督指導を行った結果、不払だった割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を厚生労働省が公表しました。

是正企業数1,000万円以上の割増賃金を支払った企業対象労働者数割増賃金合計額割増賃金の平均額
平成31年度・令和元年度1,611社161社 7万8,717人98億4,068万円611万円/社
13万円/人
平成29年度1,870社262社20万5,235人446億4,195万円2,387万円/社
22万円/人

【割増賃金とは】
法定時間を超える時間、勤務をさせた場合などに支払わなければならない、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した賃金のこと。割増率については以下の通りです。

  • 時間外労働=25%
  • 休日労働=35%
  • 深夜労働=25%

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果

令和元年度に、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめた情報も公開されています。

監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。

対象事業所数労働基準関係法令違反事業所数
80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場月100時間を超えるもの月150時間を超えるもの月200時間を超えるもの
平成31年度・令和元年度32,981事業場15,593事業場
(全体の47.3%)
5,785事業場(全体の37.1%)
平成29年度25,676事業場18,061事業場
(全体の70.3%)
8,592事業場5,960事業場(全体の51.4%)1,355事業場(全体の11.7%)264事業場
(全体の 2.3%)

主な健康障害防止に関する指導の結果

過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善指導時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの労働時間の把握が不適正なため指導 うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの
平成29年度20,986事業場13,658事業場(65.1%) 4,499事業場
(17.5%)
1,878事業場(41.7%)

労働基準法違反の書類送検事例を確認する方法

労働基準監督署は、労働基準法違反に対して書類送検をすることがあります。

しかし、実際にどの程度の事故や違反をしたら書類送検されるのか、具体的な事例はなかなかテレビや一般の新聞では報道されません。そこで、労働基準法違反の送検の事例を知りたいときは、労働新聞のウェブサイトがおすすめです。

ニュース記事の中で、送検事例の記事が紹介されていますので、このような違反をしたら送検されるのか?という具体的なイメージが付きやすくなると思います。


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