アンケート・意識調査票の作り方(7)~集計のポイント
アセスメント&サーベイ従業員の意識調査サーベイや、採用イベントの来場者アンケート、お客様満足度調査のアセスメントなど、総務人事の仕事をしていると、いろいろなアンケートを作る機会があります。
総務人事をしていると、意外とアンケートや意識調査の作り方について教わることはありません。しかし、アセスメントやアンケートを進める上では、いくつかのポイントや注意点があります。
アンケートは「集計して完了!」ではありません。アンケートの結果をどう解釈し、アンケートの結果をどう活用するか良く検討することで、有意義な成果を得ることができるようになります。
データの細かさよりも「So What?」(つまり何が言えるのか?)が大切
データを集計すると、設問ごとに得点の「高い」「低い」に一喜一憂しがちですが、設問が0.1点高いか低いかではなく、全体の傾向を掴むことが大切です。
データの全体を見て、高い/低い傾向のある設問群は何か?設問が高く/低く出ている箇所は、どんな背景があって、そのような状況になっているのか?を考えていくことが大切です。
その際には、アンケート設計時に検討した仮説と合致しているのか?異なるならば、なぜなのか?会社を取り巻く環境や近年実施した施策の影響はないか?などを考えていくことがポイントです。
「不平不満ばかり」も1つの大切な示唆
アンケートやアセスメントを実施する際に、「レベルの低い不満や文句ばかり書かれるので、実施しても意味が無い。」とお話される事務局の担当者の方もいます。でも、考えてみてください。仮に全員の意見が不平不満だけならば、会社として打てるアクションは、経営学やマーケティングなどの応用的な研修以前に、「提案の仕方」や「ポジティブシンキング」というような、人としての基本動作に関する人材教育を実施するが喫緊のアクションになりえます。
「うちの社員は文句しか言わない」と否定するのではなく、レベルを把握することもアンケートやアセスメントから読み取れる大切な示唆になります。
回答者へのフィードバックは忘れない
社員満足度調査であれば「事務局と経営層で結果を確認しておしまい。」となったり、多面評価であれば「被評価者と人事だけが確認しておしまい。」となりがちですが、それは望ましい状態ではありません。
忙しい業務の間を縫って回答してくれた、回答者に対してもアンケートの結果や要約はきちんとフィードバックをしましょう。
調査に協力してくれた方も結果が気になりますので、どのような結果だったのかをある程度フィードバックしなければ、次回以降の調査の時に真摯に協力してもらえなくなる可能性が出てきます。
「集計結果を配っておしまい」では意味が無い
アンケートやアセスメントは集計結果を、回答者の方に返却してしまうと完了した気になりますが、アンケート結果の返却することがアンケート・アセスメントのゴールではありません。
組織や個々の社員が変わっていくヒントとなることが、アンケートやアセスメントの目的ですので、
(1)アンケート結果を見ながら、結果に対してどう受け止めるのか?(結果の振り返り)
(2)結果を受けて、明日からどのような行動を取っていくのか?(アクションプランの作成)
(3)自分で決めた行動を、日々実践しているのか?(アクションの進捗状況の確認)
を実施していく必要があります。
「結果の振り返り」「アクションプランの作成」「アクションの進捗状況の確認」があって、意味あるサーベイ・アセスメントとなります。アンケート・アセスメントの予算を見積もる際には、アンケート終了後のフォローアップの費用も見積もっておくことが賢明な計画であると言えます。
アンケートの目的を見失わない
アンケートの目的は、従業員満足度調査や顧客満足度調査であれば現状を把握することですし、多面評価(360度評価)の一般的な目的は、当事者や該当部署の「振り返り」と「成長/改善」などになります。
アンケート・アセスメントの実施は、主催部門としては大人数を巻き込む一大イベントですが「前の年も実施しているから」という理由での開催は好ましい状態ではありません。
目的の無いアンケート・アセスメントほど、手間と時間を浪費してしまいます。主催部門の目標管理の達成や、主催部門の慣例で実施しているならば、本当に実施をするべきなのか?一歩足を止めて再考してみる必要があります。