アンケート・意識調査票の作り方(6)~集計のポイント
アセスメント&サーベイ従業員の意識調査サーベイや、採用イベントの来場者アンケート、お客様満足度調査のアセスメントなど、総務人事の仕事をしていると、いろいろなアンケートを作る機会があります。
総務人事をしていると、意外とアンケートや意識調査の作り方について教わることはありません。しかし、アセスメントやアンケートを進める上では、いくつかのポイントや注意点があります。
今回は、回収したアンケートを集計する際に、気を付けるべきポイントを解説していきます。
回収した回答用紙の管理方法を考える
紙でアンケートやサーベイを実施した場合、回答用紙が事務局に戻ってきます。
データ入力をしてしまえば、回答用紙は用済みになるのですが、のちのちになって、回答用紙の原本を確認することもあります。
どのデータが、どの回答用紙から入力されたものなのか分かるよう、回答用紙は戻ってきた順番に番号を振り、ファイリングをするなどアンケート終了まで管理をしておくことをお勧めします。
集計用ソフトウェアを決める
アンケートやサーベイを社内で内製する場合の論点として、集計の媒体をどうするかも検討事項の1つになります。アンケートやアセスメントを集計する媒体としては、表計算ソフトである「エクセル」かデータベースソフトの「アクセス」を用いるのが一般的ですが、どちらのソフトを使用するのが良いのでしょうか?
エクセルを使用する場合は、会社で働いている多くの人がエクセルの操作経験を有していますので、集計が出来る人が多いということ、また、表計算ソフトですので、グラフの作成や再計算がしやすいという点が特長と言えます。
しかし、大量のデータの集計や複雑な組み合わせの集計はアクセスと比較すると若干の物足りなさを感じることが欠点と言えます。
一方、アクセスの場合は、大量のデータを様々な角度から集計が出来る点は大きな魅力です。
しかし、アクセスはデータベースの設計を事前にする必要がある上に、美しいグラフを作る場合は、アクセスで集計したデータをエクセル上で加工するという手間があります。また、エクセルと比べて利用頻度の少ないソフトですので、社内の誰でも扱える訳ではありませんので、敷居の高さは残ります。
属性の組み合わせを考えておく
集計をする際には、「会社全体」「部署別」「役職別」「性別」などの属性毎に結果を集計し「部長と主任の意識の違い」や「男性と女性の意識の違い」等を比較していきます。
さらに、掘り下げて集計する場合は、「営業の男性」や「女性の管理職」と言った具合に、複数の属性を組み合わせ集計をすることで、より、どのようなタイプの人が何を考えているのかが見えるようになります。
しかし、複数の属性を組み合わせて集計することで、深い示唆や新たな発見が出来る一方、組み合わせることで集計パターンが爆発的に増加します。
あらゆる組み合わせを見てみたいという気持ちは分かるのですが、あらゆるパターンを集計すると資料の読み込みの負担が大きくなり、結局十分な把握ができなくなります。
属性を組み合わせて集計する場合は、どのような組み合わせで集計するのかを、事前に決めた上で集計をしましょう。
「回答速報」や「集計速報」を作る
アンケートの回収状況や集計状況は、回収終了や集計終了するまで何もしないという手もあります。
しかし、回収率を高めたり意識調査に対する注意喚起を促す場合は、アンケートの回収状況を共有する「回収速報」や、概要の集計が終了した時点で「集計速報」を出してみましょう。
回収速報を公表することで、部門間での温度差を社内に周知することも出来ますし、回収の遅れている部門に対する督促の効果にもなります。
また、回答して下さった方は、「どんな結果だったのだろう?」と興味関心を示しますし、回答日から出来るだけ早く報告をした方が良いので、詳細の分析(例:営業部門の男性の30代未満の意識はどうか?など)に入るまえに、全体(全回答者の平均値など)での単純集計を公表しておくことで、回答者の期待に応えることができるようになります。
小数点以下の端数処理を考える
アンケートの小数点以下の値の処理についても、集計開始時にルールを決めておきましょう。集計の年によって、「3.54」と言った小数点第2位までであったり、「3.5」と少数点1位でとどめると不統一の場合は、見た目も美しくありませんし、四捨五入や繰上げ・切り捨ての位置も変わってきますので、時系列等で並べて確認したときに誤った結論となる恐れがあります。
意識調査であれば、100分の1の違いが大勢に影響することもありませんので、2.5や4.3など小数点第1位で比較すれば十分でしょう。
単純平均だけが集計ではない
アンケートの集計にあたっては、平均点を計算することを想起しがちですが、必ずしも平均点を計算すれば十分であるとは限りません。
例えば、5点満点の設問をイメージしてみてください。3点を付けた人が10人いた場合は、平均点は3点になりますが、1点を付けた人が5人、5点を付けた人が5人でも、平均点は3点になります。
同じ3点であっても意味合いが異なりますので、単純平均だけでは正確に意味を表示しているとは限りません。単純平均だけでなく、標準偏差なども集計し回答のバラつきも併せて確認する必要があります。