中小企業の未払い残業問題#1
人事制度&賃金制度 動画(YouTube)&事務所通信近年では、未払残業問題が話題になりますが、対岸の火事ではありません。
実は「我が社は大丈夫」と思っている会社ほ危ないというのはご存知ですか?
また、未払残業問題が発生すると会社存続の危機にもなりかねません。
********************************
残業未払い問題の実態について
中小企業の未払い残業代問題について説明をさせて頂きます。
未払い残業代問題は大変話題になっています。書籍や雑誌、様々なインターネットサイトにて未払い残業問題について取り上げられており、実際に、労働基準監督署が立入り検査を行った、是正指導をしたというニュースが報道されています。
場合によっては、未払い残業問題で書類送検をされるという事例も発生しており、この未払い残業問題は、経営者として、「知らなかった!」ということでは済まされない事が特徴です。指摘されて初めて、未払い残業問題を抱えていたことが発覚する場合もあります。
残業未払い問題の具体例について
- 「年俸制」を採用しているため、残業代を支払う必要が無い。
- 営業職に対して残業代の代わりに「営業手当」を支払っているため、残業代を支払う必要がない。
- 社内風紀を整えることを目的にした社員が全員参加で始業前に社内清掃をする。朝礼を始業前に行う。
これらの事例は全て、残業代未払いのケースです。
- 「年俸制」であっても残業代は支払う必要がありますし、
- 「営業手当」は「残業代」ではなく、法律という観点から考えても「営業手当」=「残業代」になるとは決められていません。
- また、社員が全員参加で清掃を行うことや、朝礼は、会社の指揮命令下にあるので「労働時間」に含まれます。
このように、知らず知らずのうちに、未払い残業は発生していることがあります。
残業未払いの金額はどれくらいなのか?
「未払い残業代」とは、金額にするとどれくらいの規模になるか、具体的な事例を挙げて説明させて頂きます。
例えばこのような人物です。
- 月給25万円。営業手当5万円。合計30万円の給与を受け取っている
- 残業は、1日2時間発生
- 9時から18時までの勤務だった(毎日20時頃に退社している)
- 土日の出勤は月に2回、1日8時間の勤務
- 月の営業日は21.6日(平均)
この人物に対して企業が月給30万円だけを支払っていた場合、
「未払い残業代」の金額がいくらになるのかを計算してみましょう。
はじめに、残業時間、残業単価を計算します。
月給25万円と営業手当5万円は残業代、つまり時間外の単価に含まれるため合計30万円(25万円+5万円)と考えます。
月の労働時間は173時間ありますので、30万円を173時間で割ります。
これにより時給(時間単価)は1,734円と判明します。
次に、残業代を調べます。
・1日2時間、月に40時間の残業
・月2回の土日出勤、つまり8時間が2回の16時間(8時間+8時間)があり、合計56時間(40時間+16時間)が時間外労働の時間になります。
この時間外労働の時間に対して割増率1.25倍をかけ、時給1,734円×56時間×1.25という計算になります。月額で残業代は121,380円となります。
2年分の賃金債権を計算します。
月12万円程度の残業代が発生しており、賃金債権は2年間の時効になるので、過去2年間、毎月このようなペースで働いた場合、121,380円×24ヶ月=2,913,120円となり、つまり、2,913,120円がこの人物の未払い残業代の総額と計算できます。
残業未払い金額は会社にとって大きな負担である
今回の例では、未払い残業代は約300万円でした。
社員1人だけでもこれだけ高額になります。月給が40万円、50万円という幹部候補社員の場合には更に高額になりますし、同じような10人の社員が一斉に請求してきたた場合は、およそ3,000万円の支払いになることも考えられます。中小企業の場合は、未払い残業代の請求が会社にとってかなりの負担になるという事を理解し、残業代対策を進めて行くことが大切です。
********************************
中小企業の未払い残業問題#1
https://youtu.be/duTa0VXKgfo
中小企業の未払い残業問題#2
https://youtu.be/UikuBaWgPLI
中小企業の未払い残業問題#3
https://youtu.be/Cr24R4KDKI0
社会保険労務士法人アイプラスサイトはこちら
http://sr-iplus.co.jp
チャンネル登録もお忘れなく!
http://www.youtube.com/c/Meguro-sr