コラム・レポート

2015-07-07

【労災保険Q&A】労災に伴う物損は、労災保険の補償対象となるか?

社会保険&労働保険の手続き 人事制度&賃金制度

Q.労災に伴う物損は労災保険の対象となるか?

仕事中に高所から落ちて、ケガをした従業員がいます。仕事中のケガは労災の適用対象となるようですが、その際に壊れた眼鏡や携帯電話については労災の補償対象になるのでしょうか?

A.労災には物損は含まれません

労災保険の保険給付の補償範囲には「物損」という概念は存在しません。携帯電話は当然ですが、眼鏡も保証されません。

労災保険の趣旨は、ケガをした労働者が置き去りにされないようにすること

そもそも労災保険の趣旨は、会社が、雇用契約にもとづき労働者に指揮命令権を行使して仕事をさせていた時に、安全に十分配慮できておらず労働者をケガや病気にさせてしまったことに対して、会社が(1)治療費と(2)仕事を休んだ時の生活保障、(3)後遺症が残った場合の補償をしなければならないのが原則になります。(安全配慮義務)。

しかし、資金力に乏しい零細企業が、長期にわたる治療費や生活保障、さらには死亡や後遺症が残った場合の補償をしていたら会社が倒産をしてしまいます。そうなると巡りにめぐって、補償されるべき、ケガや病気になってしまった労働者が保護されませんので「全ての企業が少しずつおカネを出し合って、リスクを分散しましょう。」という考えの制度が労災保険制度になります。

なので、治療費や所得保障とは関係のない、物損については全国の企業でリスクを分散する対象になりませんので物損は労災保険の対象外になります。

そうは言っても、会社の命令下で仕事をした結果、自分の所有物が破損したのですから、物損については会社に直接請求することになります。


豆知識:通勤途上は「通勤災害」

ちなみに、通勤中に駅の階段で転んで骨折をしたときは通勤災害になります。
この場合は、健康保険ではなく労災保険になります。普通の会社であれば、労災を使ったからといって、保険料が高くなったり労基署の指導が入ることはありません。

従業員の治療費の負担軽減にもなりますので、正しい保険を使うよう従業員に指導しましょう。


人事労務ニュース 【アイプレス】も定期的に発信しています。
このコラムサイトで掲載していますので、ぜひご覧になってください。

賃金シリーズ 『賃金とは』

従業員に給与として与えるのは
金銭でなくても大丈夫?


本記事は情報・記載内容は正確を期して提供し、誤りがないよう注意・確認の上、編集されていますが、不完全な記述や誤植が含まれる場合があります。

これらのコンテンツに記載された情報の完全性・正確性および利用結果について完全なる保証を与えるものではございませんので、ご利用は自己責任でお願いいたします。
なお、本記事において引用している行政機関等の発表内容に対するご質問は、発表元に直接お問い合わせ下さい。

アーカイブ

   

人事のことでお悩みがあればお気軽にご相談ください。

ご相談フォーム
  • アイプラスHRコンサルティング株式会社
  • 労働トラブル「事例と対策」
  • 賃金制度を見直す|社労士事務所の賃金制度改定応援サイト
  • 社会保険労務士個人情報保護事務所 認証番号 第111246号

ページトップヘ