熱中症と労災と安全配慮義務
スタッフコラム 労働相談&労働トラブル気温が上昇し、熱中症発生リスクが高まる季節となりました。
熱中症対策は、会社にとって必須となっていますが、熱中症対策を怠ってしまうと、会社としてどのようなリスクがあるのでしょうか。
まず、会社には安全配慮義務があります。
労働契約法第5条では、
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ
労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」
と定められています。
厚生労働省では、熱中症について定義し、予防対策を掲げています。
「職場における熱中症の予防について」より
【熱中症とは】
熱中症は、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称であり、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温等の症状が現れる。
【熱中症予防対策】
①作業境管理
WBGT値の低減、休憩場所の整備等
②作業管理
作業時間の短縮等、熱への順化、水分及び塩分の摂取、服装等、作業中の巡視
③健康管理
健康診断結果に基づく対応等、日常の健康管理等、労働者の健康状態の確認、身体の状況の確認
④労働衛生教育
熱中症の症状、熱中症の予防方法、緊急時の救急処置、熱中症の事例
⑤救急処置
緊急連絡網の作成及び周知、救急措置
※WBGT値とは
気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。
会社は、熱中症の症状や予防方法、緊急時の救急処置等について、従業員へ教育することとされています。
業務中に発生した熱中症は、基本的には労災の対象となります。
厚生労働省の通達より、熱中症対策を怠り、従業員が熱中症を発症してしまった場合、安全配慮義務違反を問われる可能性もあります。
熱中症が労災認定される要件は以下とされています。
【一般的要件認定】
- 業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
- 当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
- 業務に起因しない他の原因により発病(又は増悪)したものでないこと
【医学的診断要件】
- 作業条件及び温湿度条件等の把握
- 一般症状の視診(けいれん、意識障害等)及び体温の測定
- 作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断
会社の安全配慮義務の1つとして、熱中症対策は必須事項です。
従業員の方々が安心安全に働くことができるよう、会社として対策をしましょう。
ちょっとしたコミュニケーションは注意喚起でも、従業員一人一人の熱中症に対する意識を持たせることができます。
熱中症に関する判例でも、会社がどのような対策を取っていたのかが論点となっています。
安全配慮義務違反とならないためには、熱中症の危険性や予防方法をしっかりと従業員に周知させ
空調・冷房設備のある休憩室の整備等、熱中症を予防する対策を講じましょう。
ちなみに、2018年度(東京労働局管内)の熱中症発生状況は、一昨年の倍の数値となっており、労働災害は96人(そのうち4名死亡)と例年を大きく上回る状況となりました。(厚生労働省発表)もし、少しでも異常が見られた場合の救急措置などもガイダンスが御座いますので是非、社内での周知をしては如何でしょうか?
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