コラム・レポート

2021-04-07

「給与デジタル払い」実現なるか

厚生労働省の公表情報 給与計算

政府は2025年までにキャッシュレス決済の比率を4割に引き上げることを目標に様々な推進を活動行ってきました。その結果キャッシュレス決済の利用者は増加傾向にあります。
その普及をさらに後押しする為にいま注目されているのが「デジタル払い」です。厚生労働省は、2021年度のできるだけ早期に制度化を目指すと公言しました。

「給与デジタル払い」とは
資金移動業者が発行するプリペイド式方式の給与振り込み用カード「ペイロールカード」を導入し、給与の支払い先にこのカードを指定すれば、企業から銀行や金融機関を介さず登録の口座に振り込まれる仕組みです。ペイロールカードを〇〇Pay等の決済サービスと連動させることで、資金のチャージが不要になります。新型コロナウィルス感染防止策としても期待されている非接触のキャッシュレス決済の利便性を高めるべく給与デジタル払いが検討されているようです。
また、外国人労働者の受け入れが進むなか、外国人労働者にとって銀行口座開設手続きの煩雑さが問題視されていました。もしデジタル払いが解禁されれば、銀行口座を持たなくても給与の受け取りが可能なうえ、海外送金の簡素化が見込まれます。

企業側としても、毎月銀行への給与振り込みをせずに済む為、業務の効率化や手数料削減が期待できます。これはデジタル払いを導入する大きなメリットといえるでしょう。また、都度払いや少額払いがしやすくなる為、より従業員の雇用形態や要望に応じた支払い方法が可能になります。

一方で、デジタル払いには安全性に課題があるとされています。
まず資金移動業者が経営破綻した場合です。銀行の場合、破綻した際に保険が適用され預金者の資金は保護されますが、資金移動業者の場合は経営破綻時に保全額が十分でなく、利用者に全額払い戻しできない可能性があります。さらに電子マネーを狙った不正や犯罪も懸念されます。実際に不正引き出し事件は最近よく耳にします。

まだまだ懸念点が多い給与デジタル払い。完全に浸透するまでは時間がかかりそうです。しかしながら既にある会社ではデジタル払い解禁を見据えてスマホ決済サービスを使い、特別手当を全従業員へ支給したことで話題になりました。このようなモデルケースが増えれば、導入する企業も徐々に増えていくでしょう。今後の厚生労働省の発表に注目です。

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