社員をつなぎとめる「ロイヤリティー」と「エンゲージメント」
スタッフコラム 労働相談&労働トラブル通勤途中にふと思ったことです。従業員満足度調査を行うと「会社への帰属意識」というキーワードが出てきます。しかし、掘り下げて考えると「帰属意識」とは何で出来ているのでしょうか?
もちろん「動機づけ要因・衛生要因」といった科学的な考え方もありますが、本当に私たちは、動機づけ要因・衛生要因だけで動いているほど単純なものではないはずです。
弊社のような社会保険労務士をはじめ、弁護士・会計士・税理士といった士業もさることながら、美容師や調理師、さらにはITエンジニアといった、専門職の会社に当てはまることだと考えます。
「ロイヤリティー」と「エンゲージメント」
会社のチーム編成を考えるときに、最初から最後まで対応する顧客担当制を引いた場合、忠誠心「ロイヤリティー」で繋ぐのですが、機能別のチーム制を引いた場合、共存共栄・利害一致の「エンゲージメント」で繋がるのだと思います。
成熟していない組織の場合、忠誠心で繋ぐのが手っ取り早いので忠誠心で繋がるのですが、「何に対する忠誠心なのかが統一できてません。社長だったり、お客さんだったり人によって異なるので、突然組織が崩壊したり、従業員が「お客さんを持って独立したりするのではないでしょうか。
企業の成長とともに「何でつなぎとめるか」は変わる
また、組織が成長すると、どこかのタイミングで必ず機能分化が始まるのですが、そのタイミングで、繋がりの根拠が忠誠心から、利害一致のエンゲージメントに変わらざるを得ません。そのタイミングに差し掛かると、そこで組織分裂が起きたり「昔は良かった」「働き者がいなくなった」と言うような、所属員一人ひとりの寂寥感が出てくるのだと思います。
最初から、機械操作のための要員数が決まっているメーカーさんの場合、最初から分業ができているので、そのようなことはないのですが、美容師や士業やITエンジニアのような、専門家や職人と呼ばれる人がいる業態ならば、どこでも起こりうることなんだと思えてなりません。
ロイヤリティーで繋ぐのか、エンゲージメントで繋ぐのかは、それぞれの価値観であって正解はありません。でも、機能分化した組織にも関わらず忠誠心で人を繋ぎ止めることはできないし、その逆も同じくです。
ちなみに
創業して数年の会社で、メンバーが袂を分かっことを起こすケースを何度も見てきました。その会社も、原点回帰派と、現実路線派の戦いかと思ったましたが、組織文化的な側面もあったのかもしれません。ちなみに、その場面を見てきた会社は全て大成功してます。現実に目を背けず、会社の「ありかた」を真剣に話し合うプロセスを経たからなのでしょうね。
担当制でもチーム制であっても、これらは「やりかた」の問題。「ありかた」の問題である経営理念とビジョンは変わりません。過渡期にはやはり理念とビジョンは無いといけないのだと思います。
ちなみに大企業の場合、企業ブランドなどで繋がりを作るのですが、ロイヤリティーのようである一方、大企業勤務のおこぼれを預かれる利害一致もあるので、何で繋がっているのか分かりにくいですね。
専門職の企業に就職/転職するまえに確認しておきたいこと
専門性で商売してる会社に転職するなら、チーム制か担当制かは確認した方が良いでしょう。そもそも何で繋がってるかの根拠が違うので、入社したら考えていた仕事のやりかたと違っていたとなると、本人も会社も不幸になります。