コラム・レポート

2018-12-12

退職する理由をどうやって聞き出す?

スタッフコラム 人事制度&賃金制度

人事担当者のみなさま、そろそろ年末調整の前職の源泉徴収票の回収は終わりましたか?
さて…

「退職者から正しい退職理由をヒアリングしたい」
ときどき経営者様や人事ご担当者様からご相談される”あるある”相談です。
おそらく人事担当や部下を持ったことのある方ならこの「正解のない問い」に出会ったことがあるでしょう。

上司や経営者に「なんで辞めるか何故把握できていないんだ!?ちゃんと数値化しないと改善できないじゃないか!」と言われているのでしょうか。
またはコンサルタントに「なぜ辞めるかさえ正確に分かれば歯止めをかけることはできますが、費用対効果を考えると、すべての福利厚生制度を導入してもコストが高すぎて結果が出ないリスクがあります」とでも言われているのでしょうか。
どちらも容易に想像できます。

ここで、残念なお知らせがあります。

私はまだ労務の世界に入って10年に満たないですが、確信していることがあります。
それは「退職者からは正確に辞める理由をヒアリングすることは、できない」ということです。

退職を決めた人は「何が何でも退職したい」のです。
辞めると決めて、それを言い出した時点でとにかく辞める手段(どう言えばうまく辞められるか)しか考えていないのです。

中小企業では特に、引継ぎに膨大なエネルギーを費やすことがあります。
分業されていなくて、当事者である従業員一人一人の能力頼みなことが多いですから、引継ぎも多くなりがちなのです。
引き継がれる相手の状況や環境によってはソフトウェアの使い方までマニュアルに残さなければならないような引継ぎもあることでしょう。

そんな引継ぎは勘弁!いつまでも自分の責任にされたくはない!
なるべくならその期間は短くありたい!そしてできるだけ自分に有利に辞めたい!(有給は取れて当たり前だと聞いてるけど、取れないならそれをあきらめてでもすぐ辞めたい!次が決まっていようが決まってなかろうが関係ない!)

これが退職者の真の望みではないでしょうか。

そうなってしまったら、退職の本当の理由も何もありません。
経営者様や人事ご担当者様からすれば「なんだそりゃ」と思う理由ばかり並ぶかもしれません。

「通勤が遠いから」⇒いやいや、入社したときから場所変わってないでしょ。
「腰痛でデスクワークは続けられません」⇒えっ、ずっと事務職なのに次の仕事何をするつもりなのかしら。
「親/夫/妻/子/その他 に仕事を辞めるよう説得されました」⇒ええ?その説得聞いちゃう?別にその人たち会社と何の関係ないんだけど。
「他にやりたい仕事が見つかった」⇒そんな、他に好きな子ができましたみたいに言われても。

注)当社の例ではありません。(笑)

それは、本当の理由ではないかもしれません。
でも、きっと、私たちに本当の理由は分からないのです。

分かるのは「続けていける理由」だけと私は思っています。
何が良くて続けているのですか。何ができていることが楽しいのですか。
何を選ばなかったために今何の目的で今の仕事をしているのですか。

それをつかんでいかなければいけません。
ところがこれが、中小企業では厄介なことに「なんとなく続けているから」がその1位になったりするんです。
本人によく分かっていない場合も多いです。まったくもって厄介です。

でも、その「なんとなく」を失わないために。
その人が続ける理由をその人よりもハッキリ理解するために。
私も、日々それぞれのスタッフに向き合い続けます。

私が望んでいるのは、その人がやりたいことを実現できること。
ひいては、それが辞めない理由となること。

ただそれだけなのです。

業務/営業担当 FT

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