働き方改革やコロナ禍の影響もあり、在宅勤務の導入や検討をしている事業所様も多いかと思います。ですが仮に、東京本社で採用した人が他の都道府県にある自宅で仕事をする場合、最低賃金の適用はどこの都道府県の金額になるのでしょうか。
この問題に対しては『在宅勤務者も、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者として労働者に該当』と労基法9条にあります。
事業とは、場所的観念によって決定すべきとしており、場所的に分散しているものは原則として別個の事業とします。ただし、出張所や支社などにおいて規模が著しく小さく、組織的関連ないし事務能力などを考慮して一の事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業とします(昭22・9・13発基17号)
平成24年3月の資料では、厚労省「在宅勤務での適正な労働時間管理の手引」において、自宅は通常起居寝食など私生活を営む場所であり、自宅が一の事業場と判断されることはない、としています。近隣の都道府県にある支社と一括されることもありません。在宅勤務者の本来所属している事業場の外で仕事をしていることになると判断するため、事業所のある都道府県の最低賃金が適用されることになります。