賃金制度のありかたは、企業の状況によっても形を変えてきます。
企業の状態ごとの賃金制度の例をご紹介します。もちろん同じ状況であったとしても、企業ごとの考え方によって賃金制度の形は異なります。あくまでも参考情報としてください。

創業直後の賃金制度

「ルール」と「人間的なつながり」のバランスに悩む時期

創業期は創業メンバーである役員と数名の従業員で構成された組織です。「前職が同じ会社」「学生時代の友人」などお互いが親しい人間関係にあることが多いでしょう。

創業期は社員同士は「創業の志」と「いままで積み上げてきた人間的な信頼関係」によってつながっていますし、1年先のことは不確実であることが共有されているため、賃金体系について大きな問題になることはありません。

創業期の賃金制度は号俸給型の賃金テーブルを用意するのではなく、先輩は30万/月、後輩は25万/月など、定期昇給の無いシングルレート型の賃金体系とすることが現実的でしょう。

賞与は「業績に応じて支給」とされることが多いですが、初期投資や雇用のための原資となりがちで、のちのちになって労使で揉める原因となるので、大盤振る舞いする約束は控えた方が良いでしょう?

また、お互いの評価についても、いままでの人間関係によって担保されているため、評価制度よりも話し合いで決着出来てしまいがちなのも特徴です。

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この時期は、雇用契約書や労使協定など、会社の暗黙のルールを文字化していくことに注力することも忘れてはなりません。

整備すべき労使協定の例としては
・休日・時間外協定(36協定)
・一斉休憩の適用除外に関する協定書
・賃金控除に関する協定書
などがあります。

成長期の賃金制度

人件費をはじめとする費用の抑制が気になりだす時期

創業直後のバタバタがひと段落した時期になると、創業メンバー以外の従業員も増えてきており、指揮命令関係や上下関係といった、組織の秩序を決めていく必要が出てきます。事業も創業直後ほど不安定ではありませんが、まだまだ先が見えない状態でありがちです。

この時期の賃金制度は、創業期から引き続き、主任は25万円/月、課長は30万円/月といったシングルレート型の賃金テーブルを継続するのが現実的でしょう。
ただし、創業期と異なる点としては、山田先輩は30万円、鈴木君は25万円といった属人的な紐付けではなく、「主任」「課長」と言った社内の肩書・序列に応じた区分とすること、肩書毎にある程度の賃金格差をつけて昇進・昇格のインセンティブとすることが望ましいでしょう。

また、賞与についても生活給的な要素は含めず、売上や経常利益などの業績に応じて支給していくことになります。

ちなみにこの時期は、経営陣もプレイングマネジャーとして日常のビジネスに精一杯となりがちです。そのため会計や労働法に関する知見やノウハウの蓄積は後回しになりがちになります。人件費をはじめとする費用の抑制が気になりだす時期ですが、独断で判断するのではなく税金のことは税理士、労務の事は社労士に確認しながらコストのコントロールをしていきましょう。

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安定期の賃金制度

「公平なルール」を決めなければならない時期

このころになると成長期のようにガムシャラに働くことは減ってきます。また、社員も結婚・出産・介護などのライフイベントが発生し、プライベートの事情での離職も発生し始めます。
また、規模が大きくなってくると知人・友人関係の雇用では人材が調達できなくなり、創業メンバーとの面識のない人物や業界の素人など、一般の労働市場から人材調達を行うことになります。

そのため、勤続年数に応じた昇給や、育成期間中の従業員の成長も加味した賃金制度に変化してきますし、賞与も成果に応じて、経営層一任の金額で支給するだけではなく、評価制度との連動や賞与制度にもとづいた公平なルールに基づいて金額を決定してくる時期になります。

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