部署ごとに所定労働時間と固定残業時間が異なる場合の就業規則の書き方

【質問】
固定残業時間と1日の勤務時間を、就業規則と賃金規程にどのように記載すべきでしょうかか?
なお、当社は部署ごとに所定労働時間と、固定残業時間数が異なり、以下のようになっています。

【総務部】所定労働時間:8時間、固定残業時間:20時間
【営業部】所定労働時間:7時間、固定残業時間:30時間

就業規則・賃金規程への書き方

【回答】
賃金規定と就業規則への記載方法は以下のようになります。
固定残業時間については賃金規程に記載し、所定労働時間は就業規則に記載します。

賃金規程への記載:

第●条(固定残業代)

固定残業代は、以下のとおりとする。この残業代は所定内賃金に固定残業時間を乗じたもので、時間外労働の割増率は法定の割増率を適用する。

  • 総務部:20時間
  • 営業部:30時間

就業規則への記載:

第●条(所定労働時間)

1日の所定労働時間は以下のとおりとする。この時間は休憩時間を除いた純粋な労働時間である。

  • 総務部:8時間
  • 営業部:7時間

※なお、所定労働時間の中に休憩時間は当然に含まれませんので、「この時間は休憩時間を除いた純粋な労働時間である。」の一文は記載が無くても支障はありません。読み手が労務管理用語に不慣れな場合は記載してある方が、人事あての質問を減らすことが期待できます。

「所定労働時間<法定労働時間」の場合の固定残業代の計算は要注意

なお、このケースの場合、給与計算の時に気を付けなければならないことがあります。
割増賃金は法定の労働時間(8時間)を超えて発生します。

営業部は所定労働時間が7時間になっていますので、7時間目~8時間までは、割増率は発生しません。例:時給1,000円の人が7時間目を残業しても1,000円であり、割増率の1.25倍を掛けて1,250円とはなりません。固定残業代として支払う金額は1.25倍されたあとの金額になりますので、給与計算に注意が必要となります。

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