Q. 賃金制度が個人の成果に偏っており、社員間の競争が激化してチームワークが低下しています。この状況を改善するにはどうすればよいでしょうか?


A. 個人成果とチームワークを両立させる賃金制度の基本原則

賃金制度が個人の成果に過度に依存している場合、社員間の競争が激化し、チームワークが犠牲になることがあります。一方で、チーム全体を重視しすぎると、個人の努力が正当に評価されなくなる可能性もあります。ここでは、個人とチームのバランスを取った賃金制度を構築するための基本原則と具体策をご紹介します。


原則:チームワークを評価する賃金制度の3つのポイント

  1. 個人成果とチーム成果の併用
    賃金評価において、個人の成果だけでなく、チーム全体の貢献度を反映させる仕組みを取り入れます。
  2. 協力行動の評価
    チーム内での協力やサポートの行動を評価基準に含め、競争だけでなく協働を促進します。
  3. 透明性の確保
    個人とチームの評価基準を明確に定め、全員に共有することで納得感を高めます。

チームワークを重視する賃金制度の具体的な方法

  1. チームボーナスの導入
    チーム全体の目標達成度に基づいてボーナスを支給する制度を導入します。これにより、チームの成功が全員に利益をもたらすことを明確に示します。
  2. 協力行動評価ポイントの設定
    チーム内での情報共有、サポート行動、問題解決への貢献など、協力行動を評価基準としてポイント化します。ポイントに応じて報酬を支給する仕組みを構築します。
  3. チーム目標と個人目標のバランス設計
    個人の目標とチームの目標を評価基準に組み込み、それぞれに応じた報酬を設定します。例えば、個人目標の達成が50%、チーム目標の達成が50%といった配分を設定します。
  4. 評価フィードバックの定期実施
    評価結果をチーム全体にフィードバックし、達成度や課題を共有する場を設けます。これにより、全員が目標に対する進捗を確認し、次に向けての意識を高めることができます。

例えば、こんな仕組みが考えられます

例えば、営業チームでは、個人の売上目標の達成率を基準に報酬を支給しつつ、チーム全体の売上達成度に応じて追加のボーナスを配分する仕組みを導入します。

また、プロジェクトチームでは、各メンバーの役割分担に応じた貢献度を評価し、チーム全体でのプロジェクト完遂が報酬に反映される仕組みを採用します。

さらに、定期的にチーム内で「協力行動賞」を設け、チームに貢献した行動を表彰することで、協働を促進する仕組みを整えます。


他社事例ではどうしているのか?

あるIT企業では、個人業績とチーム業績の比率を「6:4」に設定し、個人の努力とチームの協力の両方を評価する賃金制度を採用しました。その結果、個人の成果を維持しながら、チーム内のコミュニケーションと協働が改善しました。

また、製造業の企業では、「チーム目標達成ボーナス」と「プロジェクト貢献手当」を導入し、チームの成功がメンバー全員の利益に繋がる仕組みを構築しました。この制度により、社員間の競争意識が適切に抑えられ、チームの結束力が向上しました。


個人成果とチームワークを両立させる賃金制度を構築することで、社員一人ひとりの努力を正当に評価しながら、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。自社に合った仕組みを取り入れ、協働を促進する環境を整えてください。

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