賃金制度に関する判例

 

ノイズ研究所事件(東京高判 平18・6・22)

制度改定の要旨 会社が就業規則を変更して賃金制度を年功型から成果主義に変更
訴えの内容 就業規則の変更に伴い、降格・減給したのは不当だとして、 降格前の地位の確認と減額分の支払いなどを求めた
判決 就業規則の変更に必要性と合理性あり
判決の要旨 *どの社員も平等に昇格、昇給できる機会が与えられており、変更は合理的
*社員が降格や減給を我慢するのはやむを得ない→「経過措置が不十分」として就業規則の変更を無効とし、減額分の支払いを命じた1審・横浜地裁川崎支部判決を取り消し、原告側の請求を棄却

 

ハクスイテック事件(東京高判 平13・8・30) 

制度改定の要旨 従来の賃金体系(年功部分80%、職能部分20%)を廃止して、能力・成果に合わせた賃金体系(年功部分20%、能力部分80%)を、組合に提案したが、拒否されたため就業規則の変更で実施した
訴えの内容 賃金体系の変更は不利益変更で合理性のない無効なものであるとして、変更前の規定が現に効力を有することの確認を求めた
判決 本改正は合理性あり
判決の要旨 *会社の経営状況が赤字であり、経営体質を強化するため、労働生産性を重視し、能力・成果主義に基づく賃金制度が求められていた
*8割程度の従業員は賃金が増額しており、減額となる者についても、減額分を調整給としたり、1年間から10年間は減額補償制度を設けるなどの代償措置を講じている→不利益性はさほど大きくないため改正可

 

キョーイクソフト事件(東京高判 平15・4・24)

制度改定の要旨 年功給80%・職能部分20%い賃金体系から、総合職・専門職等のコース区分がされ、査定により、昇格昇給がされ、年功部分20%・職能部分80%と変更された。
移行に伴い試行期間を導入し、調整給を支給し、反対者には10回の団体交渉を行った。
訴えの内容 研究所に勤務する従業員(組合員)が、不利益変更であると、訴えを起こした。
判決 判決は、不利益変更ではないと判断した。
判決の要旨 新賃金の移行にあたっては、原告にとって不利益にあたる。
しかし、
(1)普通程度の評価の者でも補填がある。
(2)格付け基準や査定基準も明確。
(3)インセンティブ制度もある。会社は赤字経営の解消が必要であり、能力・成果主義の賃金制度が必要。
組合とも十数回の団交を行っており、非組合員も制度を受け入れており、合理性があると考える。

 

クリスタル観光バス事件(東京高判 平19・1・19) 

制度改定の要旨 年功序列型から成果主義型の賃金体系への移行
訴えの内容 賃金体系の移行による賃金減額の当否について争われた
判決 変更は効力ないとして、賃金減額分の請求を認める
判決の要旨 *有効な代替措置や経過措置をとることもなく、直ちに、新賃金体系を導入しなければならないほどの差し迫った必要性があるとは出来ない
*原告らの1時間当たりの実質賃金は、19%減となり、さらに住宅補助が支給されないので合わせて年間150 万円(減額30%以上)となり不利益性が大きい→新賃金体系の導入は、高度な必要性に基づいた合理的な内容のものであるという事はできない

 

アーク証券事件(東京高判 平8・12・11) 

制度改定の要旨 給与システムを改定して役職手当や営業手当等の諸手当を減額してきた
訴えの内容 格下げ及び諸手当等の減額は、いずれも労働契約に違反し無効・違法であるとし、差額賃金の仮払いを求めた
判決 就業規則等の根拠のない減額は無効
判決の要旨 *使用者が従業員の資格や等級を一方的に引き下げる措置を実施するに当たっては、就業規則等の制度の定めにおいて、見直しによる降格・降級の可能性が予定され、使用者にその権限が根拠づけられていることが必要
→就業規則等の根拠がないにもかかわらず労働者の格付を引き下げて、その職能給を減額することは出来ない
*H6.4.1に就業規則を改正し「昇給・減給」できる制度を導入したが、これは就業規則の不利益変更であり、無効

 

星電社事件(東京高判 平3・3・14) 

制度改定の要旨 勤務態度不良などを理由として、部長から一般職への降格
訴えの内容 本件処分は就業規則にその根拠を有さない懲戒処分であることから無効であり、減額された賃金の支払いを求めた
判決 本件処分は人事権の濫用に当たると判断することは出来ない
判決の要旨 *従業員の誰を管理者たる地位に就け、又その地位にあったものを何らかの理由(業績不振、業務不適合等を含む)において更迭することは、その企業の使用者が行った人事権の裁量的行為であると一般的に解されるところであるから、これは就業規則その他に根拠を有する労働契約関係上の懲戒処分ではない
*職務自体が適法に変更された結果、その職務に応じた基準による賃金が支給されるのであれば、減給等の懲戒処分には該当しない

 

エーシーニールセン・コーポレーション事件(東京高判 平16・3・31) 

制度改定の要旨 営業譲渡後の成果主義賃金体系の導入により、減給
訴えの内容 低評価を受けた従業員が給与減額を不服として、減額分を請求
判決 原告らに対する降給の措置は、特に不合理ないし不公正と認める余地を見出すことは出来ず、有効
判決の要旨 *労働契約の内容として、成果主義による基本給の降給が定められていても、使用者が恣意的に基本給の降給を決定することは許されず、降給が許容されるのは、就業規則等による労働契約に降給が規定されているだけでなく、降給が決定される過程に合理性があること、その過程が従業員に告知されてその言い分を聞く等の公正な手続きが存することが必要である
*本件は、従業員への告知と意見表明の機会も保障されていたから、特段の不合理性・不公正性も認められない、として差額賃金の請求が棄却

 

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