平成30年版過労死等防止対策白書が公表されました
厚生労働省の公表情報厚生労働省は、過労死等が多く発生していると指摘のある重点業種・職種の過労死等の要因についての分析を発表しました。
「過労死等」とは・・・
(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
(3)死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害
過労死が多く発生していると指摘のある重点業種・職種は、「自動車運転従事者」「教職員」「IT産業」「外食産業」「医療」が挙げられています。
IT産業の調査、分析結果をピックアップします。
▼労災支給決定(認定)事案の分析
・脳・心臓疾患及び精神障害事案ともに、30代から40代と比較的若い世代で多い。
・脳・心臓疾患事案の発症に係る長時間労働の要因は、厳しい納期、顧客対応、急な仕様変更等となっている。
・精神障害事案の発病に関与したと考えられる業務によるストレス要因は、長時間労働が多い。
▼労働・社会面の調査
・長時間労働が発生する理由は、トラブル等の緊急対応、顧客対応、仕様変更等、主に発注者等顧客からの要望等への対応が多い。
・業務に関連するストレスや悩みの内容は、納期厳守等のプレッシャー(48.5%)、職場の人間関係(36.8%)が多い。
・過重労働の防止に向けた取組を実施するにあたっての課題は、顧客の理解・協力が必要である(56.1%)、ITエンジニア自身の理解・協力が必要である(45.8%)が多い。
過労死等の防止のための対策として、行政機関の対策は、4つを発表しています。
1長時間労働の削減に向けた取組みの徹底
1)長時間労働の削減に向けた取組みの徹底
2016年4月から時間外労働が「月100時間」から「月80時間」行われている事業場に拡大して、監督指導を行っています。
2)長時間労働等に係る企業本社に対する指導
3)ガイドラインによる労働時間の適正な把握の徹底
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の周知・指導
4)是正指導段階での企業名公表制度の運用
違法な長時間労働が複数の事業場で行われた企業について、経営トップに対して指導し、企業名の公表を実施
5)36協定に関する法令の周知指導
2過重労働による健康障害の防止対策
3メンタルヘルス対策
4ハラスメント防止対策
来年2019年4月1日より、働き方改革により労働基準法、労働安全衛生法等が改正され、時間外労働の上限が設定、年5日の年次有給休暇の確実な取得、中小企業の月60時間を超える時間外労働に係る割増率猶予の廃止などが始まります。
労災事故の防止対策とともに、就業規則の整備、社内制度の改善が必要となります。
過労死等防止対策白書の詳細は、下記を参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html