コラム・レポート

2020-04-19

労務管理や給与計算に影響を与える法改正(20年4月1日より)

法改正 社会保険&労働保険の手続き 給与計算

コロナ騒動で、どの会社も法改正情報どころではないかもしれませんが、20年4月1日より労務管理に関する法改正ありました。個別にいろいろ論点がありますが、全体像をお知らせするため概要をご紹介します。給与計算に影響するものもありますので、ご注意ください。

Contents

「採用時に身元保証人を取っている会社」に影響がある法改正

【1】民法の改正:身元保証人への損害賠償に上限額を決めないと無効に

民法が改正され、身元保証人が責任を負う賠償額の上限を設定しなければならなくなりました。この上限額が設定されていない場合は、身元保証人契約が無効になりますので、注意が必要です。

身元保証人に損害賠償請求をすることは稀と思いますが、入社時の身元保証人から書類を提出してもらっている企業は要注意です。
「身元保証」ではなく「推薦状」とするなど、そもそも何のために保証人を取っているのか、目的を見直してみることをお勧めします。

 

 

「高齢者を雇用している会社」に影響がある法改正

【2】労働保険徴収法の改正:64歳以上も雇用保険料が発生

64歳以上の雇用保険の被保険者は保険料の徴収が免除されていましたが、4月1日より免除が廃止となりました。保険料が徴収されるタイミングは、4/1以降に締日が到来する給与から対象になります。今月の給与計算は徴収漏れが無いように特に注意が必要です。


踏み込んで考えると、
・そもそも64歳以上であるが雇用保険の対象者だったのか否か
・勤務日数(所定労働日数や所定労働時間)が変わってしまっていて、雇用保険の被保険者ではなくなってしまっている者もいないか
チェックが必要です。

ちなみに、6月から7月にかけて「年度更新」という労働保険(労災・雇用)の保険料の申告のイベントがあります。その際の概算保険料の計算にも影響がありますので注意が必要です。

 

 

「外国人を雇用している会社」に影響がある法改正

【3】健康保険法の改正:被扶養者は「国内居住要件」が必要

これまで健康保険は生計維持をしていることが条件でしたが、それに加えて国内居住要件が追加されました。
海外に居住する被扶養者がいる場合は、2020年4月以降は被扶養者異動届を提出して、被扶養者から外す手続きが必要になります。

ちなみに、外国人労働者を想起しがちですが、「扶養している両親が老後に海外移住した」という日本人にも該当するので、うちは外国人労働者がいないから大丈夫と思わないようにしましょう。
また、海外留学中の被扶養者や、海外赴任に帯同している家族は「国内居住要件の例外」に該当し、その事実を証明できれば、国内居住要件が認められます。

 

 

「残業代計算に自信がない会社」に影響がある法改正

【4】労働基準法の改正:賃金の時効が2年から5年に伸びました

賃金の時効が2年から5年に伸びました(当面は3年)。
未払残業代などがある場合ですが、いままでは「過去2年分をさかのぼって、、」となっていましたが、さかのぼりの期間が5年に伸びることになります。

また、記録の保存期間も5年に伸びていますので、総務部門の書類の管理期限のルールも修正することが求められます。

影響を受ける内容は主に以下の3点になります。
・賃金の消滅時効(2年→5年)
・付加金の請求期限(2年→5年)
・記録の保存期間(3年→5年)

コロナ騒動で大変な時期ですが、今回は法改正が多く、会社や従業員の生活に影響の大きい内容があります。忘れないようにご確認ください。

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